2017
03.20

コトブキ

イセザキの外れでノスタルジーに浸る

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3月19日、日曜日の午後1時。
関内駅で降り、マリナード地下街を伊勢佐木町方面へと向かう。

やがて突き当りに到達。
看板の指示に従って階段を上がると、伊勢佐木町商店街、通称「イセザキモール」の入口が視界に飛び込んできた。

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晴れ渡った空。
柔かい陽ざし。
そして、さわやかな風が舞う。

銀座を散策するのが「銀ブラ」ならば、伊勢佐木町を散策するのは「イセブラ」。
かつて日本の最先端よろしく我が世の春を謳歌したそんな商店街だが、今では春爛漫の商店街を行き交う人々は、さほど多くない。
いや、多くないどころか、みなとみらい地区が栄える一方で、まるでさびれた地方都市の商店街のような様相を呈している。

立ち並ぶ建物も時代とともに移り行く。
「松屋」は「JRA場外馬券売場のエクセル伊勢佐木」へと変わり、「横浜松坂屋」は「カトレヤプラザ伊勢佐木」へと変貌した。
「目的の店」まではイセザキモールの入口から10分程度。
住人が変わったかつての我が家を見るかのように、ちょっとした寂しさとよそよそしさが歩く速度を早めさせる。

そんな中、変わらぬ建物にこころがほっとする。
神奈川県民にとって本屋と言えば、明治から続く老舗の「有隣堂」。
こちらはその本店だ。

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1丁目、2丁目を過ぎ、3丁目の交差点をさらに直進。

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4丁目では「伊勢佐木町ブルース」の歌碑がお目見えする。

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青江三奈さんが100万枚のヒット曲「伊勢佐木町ブルース」を歌ったのは1968年のこと。
高度経済成長期、まさに昭和が隆盛を極めた時代である。
歌碑は青江三奈さんを讃えて商店街の組合が作ったもので、歌碑にあるボタンを押すと「伊勢佐木町ブルース」が流れる仕組みになっている。

さらに歩を進め5丁目に。
ここまで来ると、「商店街の外れ」の色が濃く、それと反比例するかのごとくイセザキの色と人影がうすらいで行く。

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そんな5丁目に、この周辺の食文化を支えて来た老舗洋食屋が、ひっそりと佇んでいる。


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コトブキ

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コトブキは1954年(昭和29年)の創業。
以前は大岡川方面の若葉町に店を構えていたのだが、2002年に道を一本へだてた伊勢佐木町に移転した。
旧店舗のそばには、コトブキと共に同時代を歩み、2005年に閉館した横浜日劇があった。

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出典:wikipedia

ヨコハマの光も闇も知り尽くした、生き字引のようなコトブキ。今は24時までの営業だが、最近までは創業以来ずっと年中無休の24時間営業を続け、土地柄、買い物客やらカップルやら水商売の方やら、幅広い客層を収容してきた。
まだ移転してきてからそんなに月日は経っていないが、それでも歴史の重みを感じさせる老舗大衆食堂の雰囲気を、しっかりとかもしだしている。

ドアを開け店内に。

入口から見て左側にテーブルが5つ。
うち、真ん中は3人掛けで、残り4つは4人掛け。
右側は二人掛けが8つ並んでいる(壁側はソファーになっている)。

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先客はふた組。
女将さんに「先生」と呼ばれている初老の男性客がひとりと、母子連れの3人組。

間髪を入れずにオムライスを注文。
価格は730円(税別)と、お値ごろ。

辺りを見回す。
2002年の移転なので、店内はそれなりに新しいのだが、随所に昭和が見え隠れする。
極めつけはBGM。
古めかしい洋楽が、これまたトランジスタラジオから流れるような古めかしい音で流れている。

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ここはどこ?
いつの時代?
一瞬、心身が時代錯誤に陥る。

と、目の前をオムライスが通過する。
どうやら先客の子供が注文したものらしい。
母子3人組のこどもふたりはともに小学校高学年(4~5年くらい?)の様相。
なんだかうれしい。

" たくさんお食べ "

子供たちが美味しそうにオムライスをほおばっている姿を見ると、思わず笑みがこぼれてしまう。

やがてボクが注文したオムライスも出来上がった!

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おー!
美味しそう!!
これぞ典型的な昔ながらのオムライス。
中のライスもチキンライスだし、玉子の黄色、ケチャップの赤、千切りキャベツの黄緑の配色もまるでお手本のよう。
それにしじみの味噌汁がついている。
これも美味しそう。。

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ボリュームもたっぷり。
食べ応えがありそう。

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では、いっただきま~す!!

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うん、美味しい!
それに、濃い!
めっちゃ濃い味。
しかも、塩気のつよい味付け。
クリームを入れたマイルドな味とは真逆。

キャベツにはドレッシングもマヨネーズもかかっていないけど、何もつけずにオムライスと一緒に食べてちょうどいいい。

いいなあ、これ。
懐かしい味。
しばし、ノスタルジーに浸る。

よく見ると、壁にキャベツの食べ方が貼られている。
なるほど、納得。

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しばらくして、先客の母子連れが食事を終えレジに向かう。

「どっちが上かな?」
女将さんが男女の子供に尋ねる。
「一緒!」

二卵性双生児のようだ。

「どっちが強いのかな?」
再び女将さんの質問が飛ぶ。
「お姉ちゃん」
男の子が応える。
「男の子は強くならないとね」
笑顔のおかみさん。
はにかむ男の子。

男は強くかあ……。

横浜、いや、ヨコハマに来ると、しかも野毛や伊勢佐木町、いやイセザキに来ると、ハードボイルドの世界が脳裏をよぎる。

タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。
If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

レジに佇む母子連れと女将さんに目をやりながら、心の中でつぶやく。
女将さん、その男の子はきっとお姉ちゃんより強いんだよ。
でも、やさしいから、お姉ちゃんをたててんだよ。
だって、ふたり仲良く、この店の最高に美味しいオムライスを笑顔で食べてたんだから。

母子連れが去ったあとのテーブルには、ご飯粒ひとつも残っていないきれいな食器。
創業以来、いったいどれくらいの人がこの店の味で育っていったのだろう。

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ヨコハマ。
イゼザキ。

中学高校時代にお世話になった街。

" 帰りにエアライフルやろうぜ! "
友達の声が蘇る。

ある意味、ボクの故郷。
上辺だけのやさしさや飼いならされたマイルドなんていらない。
いつまでも、変わらずに、ここにあってほしい。

■ コトブキ
・TEL 045-251-6316
・住所 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町5-129-9
・営業時間 9:30~24:00
・定休日 年中無休


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2017
03.12

洋食TAKA

アットホームな洋食屋でいただく武蔵野の風情

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アートスペース88を後にして、国立駅のすぐそばにある、洋食TAKA ( ← リンク ) へと向かう。
南口から線路沿いの道を東京方面へと歩き、2~3分ほどで左手に素敵な佇まいがお目見えする。

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真冬の午後6時。
寒風が頬をかすめる。
肩をすくめる目に、店内から発せられた至福の灯りが飛び込む。

"さあ、あたたまっていきなよ"
木板に書かれた「TAKA」の文字が、やさしくほほえみかける。

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ドアを開け、店内へと入る。
「いらっしゃいませ」
奥さんの案内に従い、奥のテーブル席へと進む。
入口の窓越しには手前にあるカウンター席しか目に入らないため店の広さはわからなかったが、奥には4人掛けのテーブル席が6つあり、決して大きな店ではないがゆったりと座ることができる。

腰を落ち着け、メニューを拝見。
オムライスは固焼き卵と半熟卵の2種類が用意されている。
しかも、各々、トマトソース、デミソース、トマト&デミソースの3種類から選べる。

うーむ。
どれにしようかなあ???

半熟卵のもいいけど、ここはやっぱり職人技で包んだオムライスを食べたい!
店のホームページにも以下のように書いてあるし。

**************************************

お子様の好きなメニューと言えば『オムライス』

でも『オムライス』と一言で言ってもその味・形は沢山ありますよね?
定番なのは誰でも知っているチキンライスを薄焼き卵でラグビーボール型に包んだもの。
しかし、卵が厚すぎれば食感が悪くなり、薄すぎれば歯ごたえが無くなります。
そんなバランスの取れた絶妙な厚さのオムライスを作れるのは経験に裏打ちされた技術を持つ者だけです。

勿論、『洋食TAKA』のオムライスも例には漏れません。
じっくり煮込んだデミグラスソースをかけたその愛らしい姿はお子様だけでなくいろんな方に食べて頂きたい一品です。

**************************************


ソースはふたつの味を楽しめるトマト&デミにしよう!

注文をすませ、ゆったりと流れる時間を楽しむ。
間接照明のやわらかい光。
スピーカーから流れるカントリー調の曲。
落ち着いた雰囲気の色調と調度。
そして、厨房から聞こえる卵を溶く音。

そのどれもが、やすらぎのひとときを演出する役割を果たし、北風に固まった心身を弛緩させてくれる。

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しばらくしてオムライスが運ばれてきた。
おー!
美しい!!!!!

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ホントきれいに巻かれているし、左右に広がるトマトソースとデミソースの海が見事に調和している。

店の雰囲気にもピッタリ。
この店にして、このオムライスあり!

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では、いっただきます!

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うん、美味しい!
トマトソースは酸味がきいており、デミソースはコクがあって苦味がきいている。
中のチキンライスの味は薄めで、ソースや卵と絡まり合って店の味を形成している。
上品な大人の味だね。

ひとくち、そしてまたひとくち、ゆっくりとオムライスを口に運ぶ。
そう、このオムライスは「ガツガツ」と食べてはいけない。
確かな技術、作り手の思い、店の雰囲気、そして、武蔵野の風情を堪能しながらオムライスを食する。

個人的に、学生時代から中央線沿線が好きだ。
「これ」といった、ハッキリと語れる明確な理由があるわけではない。
感覚的に、本能的に惹かれるものがある。
沿線が培ってきたサブカルチャー的な要素も多分にあるのだろう。
そしてまた、「大都会東京」の中の「地方」の要素もあるのだと思う。

かつて国木田独歩は、その著「武蔵野」において、武蔵野の魅力(この地に惹かれる理由)を次のように描写している。

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必ずしも道玄坂といわず、また白金といわず、つまり東京市街の一端、あるいは甲州街道となり、あるいは青梅道となり、あるいは中原道となり、あるいは世田ヶ谷街道となりて、郊外の林地田圃に突入する処の、市街ともつかず宿駅ともつかず、一種の生活と一種の自然とを配合して一種の光景を呈しおる場処を描写することが、すこぶる自分の詩興を喚よび起こすも妙ではないか。
なぜかような場処が我らの感を惹ひくだらうか。
自分は一言にして答えることができる。
すなわちこのような町外れの光景は何となく人をして社会というものの縮図でも見るような思いをなさしむるからであろう。
言葉を換えていえば、田舎の人にも都会の人にも感興を起こさしむるような物語、小さな物語、しかも哀れの深い物語、あるいは抱腹するような物語が二つ三つそこらの軒先に隠れていそうに思われるからであろう。
さらにその特点をいえば、大都会の生活の名残と田舎の生活の余波とがここで落ちあって、緩やかにうずを巻いているようにも思われる。

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時代は違えど、分かる気がする。
自然との共生が問われる現代。
産業革命から進んできた生産性向上と資本主義の世の中。
高度経済成長期には多くの森林が伐採され、武蔵野の地も様相を変えた。
しかし、宮崎駿作品に象徴されるような、こころの奥底に訴えかけてくる永遠のアナクロニズムのような郷愁がこの地には宿っている。

大都会の生活の名残と田舎の生活の余波がここで落ちあって……。
言い換えれば、環境面で西洋化された生活とDNAに刻まれた日本古来の生活の融合か……。

美味しいオムライスを楽しんだ後、会計にレジへと向かい店の奥さんに挨拶をする。
「ごちそうさまでした。美味しかったです!ここはもう永いんですか?」
「そうですね、もう10年くらいは経ちますね」
「とても素敵な雰囲気ですね。ずっとやっていてくださいね」
「はい、細々とですがガンバってやっていきます」

店のドアを開け、すっかり夜の帳が降りた北風の街へと身をさらす。

"気をつけて。じゃあまた!"
TAKAの木板が語りかける。

"ありがとう!いい時間を過ごせたよ"

こころ惹かれる地の、アットホームな店で食べるほっかほかのオムライス。

ふと、空を見上げる。
洋食TAKAのホームページの文章が、星空に輝き、こころをあたためてくれる。

老舗のレストラン数件で13年間修行をし味の研究を重ね、国立の地に店を構えました。
料理には絶対の自信を持ち、老舗より安価で老舗以上の味を楽しめる洋食屋です。
決して気取ることの無く、「辛口」が苦手の方には「甘口」に、ナイフとフォークがなれない方にはお箸を用意。
一人でも、ご家族でも気軽に本格の味を楽しまれてはいかが?

■洋食TAKA店舗情報
TEL:042-573-7997
住所:東京都国立市東1-1-22 パールハイツ国立101
営業時間:[火~金]11:30~15:00(LO.) 17:30~22:00(LO.)[土・日・祝]11:30~22:00
定休日:月曜日


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2017
02.11

一枚皿

ビジネス戦士の秘密基地

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先日、所用で虎ノ門ヒルズに出向いた。
ちょうど昼時だったので、近所でランチをとることに。
虎ノ門駅は新橋駅から地下鉄銀座線でひと駅。
歩いても10分程度なので、新橋から手頃な店を物色しながら歩くのも一興だ。

どこにしようかな???
決めかねているうちに虎ノ門ヒルズに到着。

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虎ノ門ヒルズの中にもいろいろな店があって食事はできるのだけれど、せっかくなので近隣に面白い店はないかなと思っていたら、なんともまか不思議な様相の店が目の前に出現!

一枚皿

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虎ノ門ヒルズの道をはさんだ反対にある小さな店。

無国籍???
何だろう???

ドアを開け、店内に。
中はカウンターのみで、60年代のアメリカを思わせるグッズが壁を覆っている。
先客は2人組のビジネスマンのみ。

「いらっしゃいませ」
フロアお切り盛りしている年配の婦人の声が響く。
「荷物は階段においてください。使いませんので」
誘導に従い一番奥の席に腰を落ち着け、カバンを階段に置く。

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「ランチはパスタかオムライスです」
婦人が指さす黒板に目をやる。

どうやらパスタとオムライスの2巣類というのは決まっていて、味は日替わりらしい。
この日のオムライスはビーフ カレーソースのクリーム味。
間髪入れずにオムライスを注文。

「オムライスひとつ」
婦人が奥の調理場に声をかけると、やがてご飯を炒める心地よい音が店中を包み込む。
うん、いいカンジ……。
狭い空間だし、カウンターの椅子は決してゆったりと座れる代物ではないのだけれど、不思議と落ち着く。

しばらくして、サラダ、そしてオムライスが到着!

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スパイスの効いたカレーの香りが鼻をくすぐる。
同時に、「待ってました!」と、食欲が目を覚ます。

うわあ、美味しそう。。

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ではさっそくひと口。

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うん、美味しい!!
これは初めての味。
ソースはクリームでマイルドに仕上げつつ、インドカレーのようなスパイシーな味わい。
これがバターライスによく絡み、青菜ともやしのしゃきしゃき感がサポートする。
さらにはベーコンで「肉」を感じた舌に、これでもかとばかりにビーフの歯ごたえが追い打ちをかける。
このハイブリッド感はまさに無国籍!

これはいい店を知ったぞー!!!!!!!!
興奮さめやらぬこころと膨れたお腹を食後のコーヒーで落ち着ける。

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それにしても、この落ち着く雰囲気は何なんだろう……。
長居したくなるわけではない。
なぜだか、ほっとする。

無国籍。
どこにも属さない、自由で、無味無臭な深いコクと味わい。

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多種多様な職種の多種多様な人々が交錯するビジネスの世界。
日々是決戦。
弱肉強食。
キツネとタヌキのだまし合い。

ビジネス戦士の、つかの間の休息。

そんな言葉が頭を過ぎる。

一枚皿。
一枚の皿がもたらしてくれるやすらぎ。
そう、ここは、グローバルな空気に包まれたビジネス街に佇むやすらぎの無国籍空間。

「ごちそうさま」
時間がないので、そそくさとコーヒーを飲み干し店を出る。

滞在時間はほんの15分程度。
それでも、心身には、確実に充填されたエネルギーを感じる。


TEL:03-3431-3992
住所:東京都港区虎ノ門3-8-3
営業時間:[平日]11:30 - 14:00(LO 14:00)/18:00 - 21:00(LO 21:00)
定休日:土曜日・日曜日

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2016
12.14

横山飯店

県央の老舗で楽しむ懐かしの味

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神奈川県の中央、いわゆる県央に位置する相模原市。
先日、小川フェニックスが経営するスウィートエッグスに行って以来、何だかこの方面への興味がわいている。

この日は相模原駅から徒歩10分弱にある、ホテルを兼ね備えた健康ランド「JNサービス相模原」を訪問した帰り。
チェックアウト後にオムライスをと、JNサービス相模原を越えてさらに10分程度歩を進めた横山地区にある店に行くことに。

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その店の名は、横山飯店

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40年ほど前に創業した老舗中華料理屋。
駅からは遠いけど、相模原駅南口を出たら真直ぐ横山公園方面へと向かう通り沿いにあるので場所はわかりやすい。

しばらくして目的地に到着!
店の前のショーケースにあるオムライスを確認。
オムライスの前では、クリスマスを心待ちにするかのようにサンタさんが躍っている。

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「味自慢 中華料理」と書かれた赤いのれんをくぐり、スライドドアを開ける。
と、同時に、入口に敷かれたカーペットの「いらっしゃいませ」の文字が笑顔で迎えてくれる。

時間は開店して間もない11時ちょっとすぎ。
「こんにちは」
「はい!」
今度は女性(奥さん?)の笑顔が店の奥から飛び出す。

満席で入れないことも多いと聞くが、早い時間のため、幸い先客はいない。
小上がりの4人掛けの座敷席がふたつと、6人掛けのテーブルがふたつ。
混雑時は相席必至のテーブル席に陣取り、間髪を入れずに注文。
「オムライスをください」

腰を落ち着け、店内を見回す。
角の棚の上にあるテレビ。
店の雰囲気からすると、ブラウン管で丸いチャンネルや音量ボタンが横にあるドカッとしたテレビがお似合いだけど、そこは時代の流れに逆らえず、液晶の薄型タイプがバツの悪そうな顔をしてちょこんと座っている。

厨房に続くカウンターの下にあるケースの中には、これまたサンタさんやいろいろな人形が。
この店の奥さんの趣味なのかな?
このちょっとした飾りつけが、ともすると殺風景になりがちなシンプルな店の中を、とてもあたたかい空間にしてくれている。

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やがて店の奥から玉子をとく音が。
いいねえ、この響き。
なんだかワクワクしてくる。

続いて鍋を振るい、炒める音が……。

ジャー、カンカン。

うわああ、もう、聞いているだけで幸せな気分。

しばらくしてアツアツのオムライスが到着!

中華スープにマヨネーズのかかった千切りキャベツがオムライスに花を添える。

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この組み合わせ、大好きなんだよなあ。。

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玉子もきれいで、いいカンジに焼けている。

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では、いっただきます!

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おー!
おいしいいい!!!!!!!!!!!!!!
ケチャップライスの中にはハムと玉ねぎ。
味は濃い目で、しっとりとしている。
よく炒められた玉ねぎとケチャップの甘さがハムといいあんばいに溶け込んで、口中に広がる。

これだよ、これ!
思わずさけびたくなる。

美味しさに夢中で一気に完食。
「ごちそうさま!」
「ありがとうございます」
「いやあ、美味しいですねえ。懐かしい味ですし」
「あっ、ありがとうございます。うちみたいなオムライスをだすところは少ないですから」
はにかんだ笑顔の奥さん。

満足を胸に店を後にする。
帰り道に、ふと思った。

オムライスの味は濃い目と書いたけど、かなり濃い目。
健康には薄味を。
そう言われる世の中で、健康的かと言われると真逆の味かもしれない。
もちろん、健康に気を使ってご飯を食べるのは大事だ。
でも、もっと大事なのは、美味しいものを美味しいと感じれること。
健康だからこそ、しっかりとした味の料理が食べられるのではないか。
美味しいものを美味しいと感じて食べられるからこそ健康なのではないか。

健康であること。

よし、大丈夫だ!
美味しいものを食べて、多忙な年末を乗り切るぞ!


■ 横山飯店

TEL:042-754-8311
住所:神奈川県相模原市中央区横山4-23-19
営業時間:11:00~14:30 17:00~21:00
定休日:火曜日

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2016
12.04

カフェ・ロッタ (Cafe Lotta)

古民家カフェで過ごす、ほっこり笑顔のひととき

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歩道に舞う枯れ葉。
晩秋から初冬へ。
季節の移ろいが加速する。

そんなに急がなくてもいいだろう。
秋を名残惜しむ人々の声には耳を貸さず、師走の声を聞いた街は冬色に染まり始める。

2週間前に訪れた豪徳寺を再訪。
境内中を鮮やかに彩っていた紅葉も、今は最後の輝きを残すのみ。

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"もう冬だから。ゆっくり休んで、また春に会おうね"
木々たちの声が、こころに木霊する。

そんな中、招き猫の変わらぬ姿にほっとする。

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招き猫発祥の地である豪徳寺の、たくさんの「たま」たち。

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彦根のゆるキャラ「ひこにゃん」のモデルが豪徳寺の「たま」だったのには驚き桃の木山椒の木だが、そう言えば、世田谷在住のサザエさんちの白猫も「タマ」で赤い首輪に鈴をつけていたっけ……。

豪徳寺を後に、世田谷線で、宮の坂駅から目的の店がある松陰神社前駅へと向かう。
民家の軒先をかすめるように、ゆっくりと走る電車。
それにあわせて、体内時計の針の進みがその速度を緩めて行く。

ほどなくして松陰神社前駅に到着。
駅を抜け、踏切を渡って商店街へと歩を進める。

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えーと、確かこの辺だよなあ……。

あれ?
ないなあ……。
あ、このまま行くと世田谷通りに出ちゃう。

ちょっと迷いつつ店を探す。
グローバルキッズ松陰神社駅前保育園の向かいだよなあ……。

厚あげの鶏ひきごま丼?
和食だから違うよなあ……。

ん?

看板に書かれた小さなLootaの文字が目に飛び込む。

おー!ここだあ!!

目的の店は、カフェ・ロッタ (Cafe Lotta)

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イメージキャラであるロッタちゃんの顔を描いたラテで人気の店だ。

古民家を改装した真っ白い建物。
古き良き、モダン。

きしみ音が聞こえそうなドアのノブに手をかける。
瞬間、手から伝わるぬくもりが体内を駆け巡る。

店内はたくさんのお客さんで賑わっている。
1階は満員のため、2階へとあがる。
これまたきしみそうな階段を一段一段昇る。
今度は、足から伝わるぬくもりが体内を駆け巡る。

席に腰を落ち着け辺りを見回す。
手(ドアノブ)から、そして足(階段)から伝わったぬくもりが、今度は目から飛び込んで来る。

息遣いが聞こえてきそうな調度。

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天井の木板と、やわらかくてあたたかい灯り。

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なんだろう、このほっとする感覚は。
なんでこんなにほっとするんだろう……。

そんな疑問を抱きつつ、店員さんに注文を告げる。
「かわいいロッタちゃんのオムライスを」
「はい、かわいいロッタちゃんのオムライスですね!」
店員さんの笑顔がはじける。

メニューに記載されているオムライスの名称は「とろとろたまごのオムライス」であり、かわいいロッタちゃんなんて名前は出てこない。
"お願い!かわいく仕上げてね!"の意が通じたかな?

オムライスのできあがりを待つ間に2階も満席になる。
「今おつくりしていますので、もうしばらくお待ちください」
他の席の注文をとった帰りに何気ない気遣いをしてくれる店員さんの対応も素晴らしい。
雰囲気、接客、メニュー構成、どれをとっても、人気になるのはうなずける。

しばらくして店員さんの明るい声がひびく。
「おまたせしました。かわいいロッタちゃんのオムライスです!」

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「おー!素敵ですね!!」
とろとろのたまごにロッタちゃんの笑顔。
なんだか食べるのがもったいない。

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一瞬そんなことが頭を過ぎったが、ここは一気に、いっただきま~す!!

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先ずはライスを。
なかのライスはあっさりめ。
あいびきのひき肉がアクセントになっている。

では続いてたまご、ケチャップと一緒に。

お!なるほど!!
これはロッタちゃんの絵を成しているケチャップの量とマッチした味付けになってるんだあ!
家庭的なほっとする味のオムライス。
美味しく完食!

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「2階にあがっていただいてすみません」
会計時にオーナーの女性がお詫びを述べてくれた。
1階は禁煙席、2階は喫煙席になっており、禁煙席希望だが2階しか空いていなかったことに対するお詫びだ。
笑顔がとても素敵な、この店にピッタリのオーナー。
店員さんの対応も、オーナーの対応と首尾一貫している。

オーナーの名前は桜井かおりさん。
桜井さんのInstagramはこちら( ← リンク )

ブログ ( ← リンク ) もあるが、パソコンの不調により現在はInstagramで情報発信中!

「この建物はどれくらい前のですか?」
「そうですねえ、私が使い始めてから16年なので、70年位にはなるのではないでしょうか」

そんな会話を交わして店を出る。

と、席に着いたときの疑問が再び頭を過ぎる。

なんだろう、このほっとする感覚は。
なんでこんなにほっとするんだろう……。

……。

そうだ!

幼少の頃、土砂降りに見舞われた寒い冬の午後。
必死に学校から家に帰りつき、濡れた服を着替えて布団に飛び込む。
もう大丈夫。
屋根や窓をたたく雨の轟音を聞きながら、首までしっかりと布団にくるまる。

そこにあった、天井の木板。
部屋の調度。
白熱灯のやわらかい光。
そして、ボクを守ってくれたおとうさんとおかあさん。

家。
アットホーム。
マイホーム。

使い古された言葉だが、大切な言葉。

古びた、でも決してけがれることなく真っ白に生き続ける建物の中に、人の息遣いを感じる調度に囲まれて、桜井かおりさんという笑顔の素敵なオーナーがいて、これまた笑顔の素敵な対応の素晴らしい店員さんがいて、そのみなさんを象徴するイメージキャラのロッタちゃんがいる。

アットホームな空間。
マイホームのような空間。
こころの故郷。

老若男女。
この店を訪れる人が感じる思いはそれぞれ違うかもしれない。
でもそこには、誰もが共通で感じる、確かなぬくもりがある。


■ カフェ・ロッタ 

電話 03-3428-1126
住所 東京都世田谷区世田谷4-2-12
営業時間 12:00 ~ 23:00 (L.O. 22:00)
定休日 木曜日

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