2017
09.10

メルシー

若人の輝く行手を見届ける早稲田のソウルフード


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オムライスに限ったことではないが、早稲田界隈には魅力的な店がそろっている。
その代表格が老舗のメルシー

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「メルシー」はフランス語で「ありがとう」の意味で、1958年(昭和33年)の創業。
この年は東京タワーが出来た年で、高度経済成長期に入った日本が輝ける未来へと突き進んでいた時代。
そうそう「ALWAYS 三丁目の夕日」の設定もこの年だっけ。

老舗のラーメン店で「メルシー」とは、当時随分とハイカラな名前をつけたんだなあって思うけど、店の看板にも「軽食&ラーメン」とあるように、元々は喫茶店でその名は常連の早大生によって名づけられたそうだ。


昼時の人気店はさすがに超満員。
前に待ちがひと組いて、その後並んで順番待ち。
でも回転は早く、10分も待たずに入店できた(あと5分遅かったら10人待ちくらいになっていた!)。

入口を入ると「ここは昭和です!」の主張が目に飛び込む。

茶色が基調の店内。

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ブンブン回る、壁に取り付けられた扇風機。

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4人掛けのテーブルが6つと6人掛けのテーブルがひとつ。
効率よくさばくために相席は必須で、この日ボクの隣りには若者男子ふたり組が陣取った。
ボクの前に並んでいた二人組だ。

(隣の若者たち「ラーカタ!」)

席につきさっそくオムライスを注文。
「ちょっと時間がかかるけどいいですか?」
店員さんが問いかける。
それに対してOKの旨を伝え、辺りを見回す。

ん?

うわっ!
みんなラーメンを食べてる!!

正確に言うと、ラーメン、もやしそば、タンメン、チャーシューメン、五目そばといった種類があるんだけど、何れにせよ麺類。

オムライスを食べている人は……。

い、いないかな……。

あ!

いた!

ひとりいらした!!!

妙な親近感を感じる。
ほぼ満席で30人近くが麺をすする店内。
海外で日本語の会話を聞いたときのような、そんな親近感が……。

なんて冗談はさておき、隣の若者たちの分をはじめ、次々と出来上がるラーメンを横目にできあがりを待つ。
厨房から聞こえてくる中華鍋をおたまでたたく音がここちよい。

(隣の若者たち「やっぱこれでしょー!」「オレ、3年ぶり」)

オープンキッチンなので厨房の様子は手にとるようにわかる。
大変そうだけど、活気に満ち、みんな生き生きと働いている!

そうこうしているうちにオムライスが運ばれてきた。

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おー!
美味しそう!!
せん切りキャベツとの相性もよさそうで、ケチャップのかかり方もいい!

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見た目だけではない。
「アツアツだよ!」と言わんばかりのにおいが立ち込める。

(隣の若者たち「妙に美味しいよなあ」「ソウルフード笑」)

ではさっそく、いっただきまーす!

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うん、美味しい!
よく炒められたチャーハンのようなケチャップライス。
中の具材は玉ねぎ、豚肉で、ラードがその旨みをまとめあげている。
ケチャップライスだけでもいける。
別メニューでポークライスがあるけど、それがこれなのかな???

隣の若者たち。辣油を入れ、無言でラーメンに集中。
こちらはオムライスに集中。

「ごちそうさま!」
若者たち、ラーメンを完食。
はやっ!

ラーメンかあ……。

( 妙に美味しいよなあ )

( ソウルフード笑 )

若者たちの言葉が、ボクの中でリフレインする。

う……。

ううう……。

オムライス完食が近づいてきたころ、ラーメンに洗脳された頭からラーメンが離れなくなる。

ラーメンも食べたい……。

ラーメンも食べちゃおうかな。。

ラーメンも食べないと。。

ラーメンを食べずに帰れるものか!

「すみません、追加でラーカタ!」

あー!
言ってしまったあ!
ちなみにラーカタは「ラーメンかため」のこと。


ジャーン!

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では参りませう♪

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なるほど!
煮干しの効いたスープに中太ストレート麺。
「もちもち」の麺はジャンクフード的な要素もあり、食べれば食べるほど、魔法にかかったように不思議とその美味しさが増してくる。うん、わかるわかる。
これはクセになりそう。


辣油を入れて味変。
ひと粒で二度おいしい状態。

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いやあ、さすがメルシー。
ラーメン一杯400円だし、ゆっくり過ごせる店ではないけど近くにあったら間違いなく通う。
この日も、オムライスが590円でラーメンが400円だから1,000円でおつりが来た。

帰り際、改めてメルシーの看板を眺める。

メルシー(ありがとう!)。
笑顔の看板がつぶやく。

呼応すべく、心の中でつぶやく。
こちらこそありがとう。

昭和から続く老舗がどんどんと閉店していく昨今。
このような店は、ずっとあり続けてほしいと思う。

「ありがとう」を大切に、いつまでも。
頼むよ、早大生諸君!


■ メルシー 食べログ情報

・電話 03-3202-4980 (予約不可)
・住所 東京都新宿区馬場下町63
・交通手段 東京メトロ東西線「早稲田」駅(3a出口)より徒歩1分
・営業時間 11:00~19:00
・定休日 日・祝

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2017
09.03

3つのオレンジへの恋

都の西北に佇むオムライス劇場


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9月2日、土曜日。
台風の影響か、気温はさほど上がらず、街には夏の終わり告げる風が舞う。

同時にそれは、秋の訪れを告げる風でもある。
ボクの頬をかすめて通り過ぎる風。
その風は、ちょっぴりのさみしさを内包しつつも、持ち前の爽快さで、暑さに減退していた意欲をかきたててくれる。

芸術の秋。
食欲の秋。
目を覚ました欲張り魂がその両立を求める。

先日、「Trip of the art」( ← リンク )の慧喜さんから展覧会の案内をいただいた。

名称は「古典からのインスピレーション展」。
「古典作品からインスピレーションを受け、現代にアレンジした作品を作るといった、とても興味深いテーマで描かれた数々の絵画。
場所は早稲田にある「ドラードギャラリー」 ( ← リンク )。
期間は8/31(木)~9/4(月)と短く、この日を逃したら行かれそうにない。

横浜に出て、そこから京浜急行、東京メトロ浅草線、東西線と乗り換えて早稲田へと向かう。

12:15、早稲田駅に降り立つ。
ここから5分程度のところにあるドラードギャラリーへと歩を進める。
行き方はいたって簡単。
東西線の3A出口を出て、左にまっすぐ行けばよい。

やがて視界に、異次元空間を思わせる建物の姿が飛び込んで来る。
「日本のガウディ」の異名を持つ梵寿綱(ぼん じゅこう)さんの設計による「ドラード和世陀」。

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和世陀?
氏に言わせれば、ビルは「美瑠」であり、住いは「寿舞」である。
早稲田は和世陀。

ドラードギャラリーはこの建物の1Fにある。

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入口を入ると、そこは展覧会場。
テーマに沿った素敵な絵が並んでいる。

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こちらは壁を隔てた隣の部屋。

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今回、慧喜さんが出展された「永猿図」の模写。
いろいろと苦労されたようだが、とてもきれいに仕上がっている。

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そして、数々の展示品の中でも特にボクの目を引いたのがこの作品。

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横井智子さんの「江戸の闇」と「はかなきもの」。
各々、浮世絵師の写楽と喜多川歌麿からのインスピレーションによるものとのこと。
古典と現代の融合(時空を超えた融合)に永遠の煌めきを感じる。

9月入った途端、まさに「芸術の秋」を満喫。
しばらく鑑賞したのち、次なる目的地へ。

芸術の秋の次は食欲の秋。

早稲田には魅力的な食べ物屋さんも多い。
ドラードギャラリーを後にして向かったのはこちら。

3つのオレンジへの恋 ( ← リンク )

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早稲田駅からドラードギャラリーへと向かい、途中を左に曲がった通り沿いにある。
店の佇まいからして惹きこまれるのだが、この看板を見たら入るしかない。

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開放された入口を抜け店内に入り、人差指を立てて白髪のご主人に「ひとり」と告げる。
瞬間、旧知の友人宅に招かれたような錯覚に陥る。

入った瞬間に感じる居心地の良さ。
何だろう、この感覚???

つい先ほどまで自らの感性を呼び起こして古典と現代の融合を観ていたせいだろうか、奇妙なインスピレーションが働き時空が歪む。

ともあれ、案内された入口付近の席に陣取りメニューを拝見。

トマトソース、ドライカレー、デミハヤシ、美味しそうなオムライスが並んでいる。
さてさてどれにしようか……。
価格は全て900円。

そんな中から、インスピレーションで「たまねぎのオムライス」を選択。
側で待っていてくれたご主人に注文を告げる。

それにしても居心地がいい。

出来上がりを待つ間に店内を眺めまわす。

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4人掛けのテーブルが4つ。
2人掛けテーブルがひとつ。
それに6席のカウンター。

カウンター席の上につられたグラス。
写真、絵画、……。

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こころが、トリップする。

ここは都の西北、早稲田の森の中。
静寂に包まれた森にポツンと佇むレストラン。
もちろん、実際は都会のど真ん中なのだが……。

やがてオムライスが出来上がり、目の前に。

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とても丁寧に作られていて、彩も美しい。

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早稲田の森の中で映えるオムライス。
自分の中のその感覚がこのオムライスを選択させたのかもしれない。

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味も、もちろん美味しい。
たまねぎの甘さ(旨み)がオムライス全体に染み渡り、たまごやご飯、具材と素敵なハーモニーを奏でている。
ひと口、また一口と食べ進めるにつれ、店と自分が一体化し、体内に心地よりコンチェルトが響き渡る。

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食事中、ご主人と会話を交わす。

「ここはいつからやってらっしゃるのですか?」
「2002年からです。第二の人生で始めまして」

白髪の優しそうなご主人。
でも、その目は、どこか鋭く数々の経験を積んできたきらめきを放っている。

第二の人生で始めまして……。

ボクの中でその言葉がリフレインする。

そうか!

ボクの中で何かが弾けた。

「実は、なぜか入った瞬間に居心地の良さを感じたのですが、その理由が分かった気がします」
ボクはご主人にそう告げた。

それからご主人は、やわらかい口調でいろいろなことを語ってくださった。
早稲田大学の卒業生であり、商社に勤めていたこと。
癒しの空間をつくりたいと思ったこと……。

「ボクは、オムライスを幸せの象徴として、つながり、ぬくもり、まごころをキーワードにブログを書いています」
「近いですね」
ボクの言葉を聞いて微笑むご主人。

何て素敵な出会いなんだろう。
感動が押し寄せる。

食後、奥様も話に加わってくださった。
これまた素敵な奥様。
「うちに来るアルバイトの子もいい子ばかりです。あれ?って子はすぐやめちゃいますし」

もう一度店内を眺めまわす。
そして、食べながら気になっていた「あるもの」について尋ねた。

これはなんですか?

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「教職課程の子たちがうちを取材して劇をやってくれまして、そのときのものなんですよ」
嬉しそうに笑う、ご主人と奥様。
一文字一文字こころを込めて書かれたメッセージを、しっかりと読み込む。

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なんて素晴らしいんだろう。
これぞ、「オムライスのある風景」。

ときにビジネス社会は、組織の目的のために、子供たちの純真な思いやあふれる才能をつぶし闇へと葬り去る。

我々がすべきことは何か?
本当に大切なことは何か?
厳しさを知り、必要なことは何かを知ったご主人が第二の人生で奥様と共に始めた店。
ここ(3つのオレンジへの恋)には、その答えが書いてある。

テーブルに備えつけられてあるノートにメッセージを書き込む。

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「またよろしくお願いします。ところで、何でこの店名なんですか?」
帰り際に尋ねるボク。

「オペラのタイトルからなんですよ」
はにかみながら微笑むご主人。

「理由はながーくなります。ブログに綴っています」
屈託のない笑顔の奥様が追従する。

「さっそくブログを拝見させていただきます。今日は長い劇(オペラ)のプロローグ、1ページ目をめくったところですね」
そういうボクに、
「私もブログを拝見しますね」
ご主人が応えてくださった。

2017年9月2日。
素敵な店との出会い。
素敵な方との出会い。
素敵なオムライスとの出会い。
この日、慧喜さんの展覧会での「古典と現代の融合」で感じた「永遠」は、都の西北に佇むオムライス劇場「3つのオレンジへの恋」へと通じていた。


■3つのオレンジへの恋 食べログ情報

電話 : 03-3209-3151
住所 : 東京都新宿区戸塚町1-102-101  早稲田駅(メトロ)から237m
営業時間 :[ 月~土 ] 11:30~15:00 ( 売り切れ次第終了 )
定休日 : 日曜、祝日

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2017
08.13

洋食麦星 byグリル満天星 小田急本館新宿店

夏の夜空に思いを馳せながら

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先日、所用で新宿に出かけた。
さて、今日はどこで食べようか?
暑いからあまり歩きたくないし駅付近がいいなあ。
昼時だったので、そんなことを思案。

そう言えば……。

先日再掲載したラ・プラタの記事にあるストーリー「天使の忘れもの」の最後のシーンで出てくる、ベガ、デネブ、アルタイルの夏の大三角形。
七夕のイメージが強いせいか、夏の夜空には何だかロマンを感じる.。

そんな夏の夜空に輝く大三角形だけど、春にも大三角形がある。
「春の大三角形」は、うしかい座α星アルクトゥールス(麦星)、おとめ座α星スピカ(真珠星)、しし座β星デネボラの3つの星からなる。

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出典:星空☆ミニガイド


麦星かあ……。

あ!

そんな連想で訪問したのが、洋食の老舗グリル満天星の姉妹店、洋食麦星 byグリル満天星 小田急本館新宿店

小田急線の改札を抜け、駅構内通路を進み小田急百貨店を目指す。
ほどなくして店内に入るエレベーターが視界に入る。

10F以上用のエレベータに乗り12Fにあるレストランフロアへ。
12Fには、麦星の他に、「うなぎ双葉」、「天ぷら 銀座 天一」、「とんかつ和幸」など、14店舗が軒を連ねている。

店の前に到着。
店のロゴの下には、看板メニューの「洋食プレート」の写真がデカデカと映し出されている。

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オムライス(ここでの呼び名はオムレツライス)、ハンバーグ、海老フライの3点セット。
これはもう、「巨人・大鵬・卵焼き」とか、「ランちゃん・スーちゃん・ミキちゃん」とか「バース・掛布・岡田のクリーンアップトリオ」とか「アタックNo.1の八木沢三姉妹が繰り出す三位一体攻撃」とかに勝るとも劣らぬ、昭和の時代から変わらずにハートを熱くしてくれるスーパースターの集まりだ!

うぉー!
思いきり食欲がみなぎる!!!!!

子供かよ!

うっ!

まあ、その辺は言及しないことにしよう。

そんな「洋食プレート」の写真を横目に店内へ。
正午前後は激混みが予想されるので早めの入店。
おかげでまだお客さんはそれほど多くない。

案内された席に着きメニューを拝見。
当然、洋食プレートにもひかれるけど、ここはオムレツライスを選択。
ランチでスープとサラダもついてるし。
(お!大人じゃん!自分で自分をほめてみる)

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注文を済ませ、店内を眺めまわす。

さすが老舗洋食屋の姉妹店。
とても落ち着いた雰囲気で、ゆったりと食事を楽しめるつくりになっている。

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やがてスープとサラダが運ばれる。
おー!美味しそう!

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ではいっただきまーす!

ん?

な、なんなんだあ、このサラダのシャキシャキ感は!!!!!

すごいシャキシャキ。
ダイコンはもちろん、カイワレまでもがめっちゃシャキシャキしている。

コンソメ風味のスープは上品な味つけ。
「これからメインが来ますので舌の準備にどうぞ」とスープに言われている気がする。

そしていよいよメインのオムレツライスの到着!!

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これぞ伝統的な洋食屋のデミソースがけというカンジ!
グリーンピースが彩を添えるとともにそのイメージを演出している。

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さらに、満天星系の特長として中に小エビやホタテが入っている。
ハムやキノコ(シメジなど)、ミックスベジタブルなどが入ったケチャップライスは、しっかり色づけされてとてもきれい。
といって、決して自己主張することのない味わい。
やはり、コクのあるデミソース、ケチャップライス、マイルドなたまごのバランス、というか、三位一体の味。
はるか彼方まで広がる大いなる夜空に輝く「大三角形」のように、その三位一体は、1+1+1=3ではなく1+1+1=∞の味。
口の中でどこまでも広がって行く!!
さすが満天星の中のキラ星、麦星!

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食後、満足感に包まれながらコーヒーを飲む。
新宿には好きな店が多いけど、ここもそのひとつになるな。
値段はちょっと髙め。
でも老舗洋食屋の伝統を実感できる味が手軽に味わえるなら充分。

食べログの店舗紹介には以下のように書かれている。

*******************************

【小田急百貨店新宿店12F】老舗 グリル満天星の姉妹店!
名物 オムレツライスをぜひ

麦星は、うしかい座の一番明るい一等星アルクトゥルスの和名です。
日本では古来より麦の収穫の時期に、天空でひときわ明るく見えた事から こう呼ばれ、親しまれています。
各界の食通のお客様方にご愛顧頂いておりますグリル満天星の姉妹店。
健康に気を使った選べる付け合せは野菜をたっぷり使い、体に優しい洋食を目指しています。

*******************************

名物のオムレツライス。

作り手。
食べ手。
そして、生産者。
様々な人々の願いや思いが永年に渡って育んできたオムレツライス。

「そちそうさま!美味しいですね!!」
お礼を述べて店を出る。

大いなるエネルギーを吸収したおかげで元気百倍!!
さあ、外は暑いけどガンバろう!


■ 食べログ情報

・電話 03-5323-2229
・住所 東京都新宿区西新宿1-1-3 小田急百貨店新宿店 本館 12F
・営業時間 11:00~22:00(L.O.21:15)
・定休日 不定休(小田急百貨店に準ずる) 

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2017
07.24

Christmas in July ~ ラ・プラタの何回目かの再掲載

昨日、街を歩いていたら、若い外国人の青年ふたりに声をかけられた。

20歳と19歳。
留学に来ていて、どうやらあわせて布教活動をしているみたいだ。

とても真面目そうなふたり。
こういう青年と交流するのは、文化はもちろん、英語の勉強にもなるかな。

さて、そんな二人が7月のクリスマスのことを教えてくれた。

Christmas in July

12月は夏のオーストラリアで、寒い時期にもクリスマスを楽しみたいとのことで1980年頃にイベントとして誕生したとのこと。
日本の教会でも催しを行うところがあるとか。

そう言えば、Christmas in Julyと言う映画もあったっけ。

夏のクリスマスと言えば……。

ボクにとっては、大好きなあの店。

ということで、今日は、鎌倉にあるラ・プラタの記事の何度目かの再掲載♪
いくつかバリエーションがあるんだけど、今回は2015年8月バージョンで。


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夏休みに突入!
有意義に時間を使うぞ~!!!

さて、何からしませうか……。

どこかに行きたい。

どこへ?

ボクが生まれ育った街。

鎌倉。

灯台下暗し。
地元でも知らないところは多い。

時代の変化と共に変わり行く街並み。
昔ながらの、変わらぬ懐かしい街並み。
新旧混在の風景は、ボクの中にどのように飛び込んで来るのだろうか。。

行き先は決まった!
地元探訪。
見知らぬ地を訪れるのも良いが、何気なく日々通り過ぎている我が街に着目するのもまた一興。

こころのふれあいを求めて、さあ、いざ鎌倉!!

JR横須賀線鎌倉駅に降り立つ。

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小町通りを、鶴岡八幡宮方面に向かって進む。
目指すは「あの店」。

そう、「天使の忘れもの」の舞台、ラ・プラタ

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ミセスサンタのキッチン ラ・プラタは、年中クリスマスの素敵な異次元空間であり、オムライスは断トツに美味しい!!!
階段を上り、店内へ。

「やあ、久しぶり!」
変わらぬ空間があたたあかい声でボクを迎えてくれる。

壁際の席に腰を落ち着け店内を見回す。

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静寂
荘厳
ともしび
やすやぎ

こころが、至福の時間へと吸い込まれて行く。

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前回食べたのは「天使のオムライス」。

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今日は何にしようか???

デビルのオムライス?
メキシカンミートオムライス??

う~ん。。

ひかれたのはこれ!
1日10食限定のハッシュドビーフのオムライス!!!

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夏の暑さはどこへやら、心地よい涼に包まれた静謐な宇宙空間に身を委ね、オムライスの到着を待つ。

先に来たのはセットのサラダとスープ。
では、いっただきま~す!

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おおおおお!!!
美味しいーーーーーーー!!!!!!!!!

冷製スープ。
ひんやりとした中にしっかりとした味が溶けこんでいる。
これはいい!
オムライスを受け入れる準備にはピッタリ。

ほどなくしてハッシュドビーフのオムライスが到着。

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うわあああああ、美味しそう!

デミグラスソースの香りに思わず笑みがこぼれる。

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天使のオムライスと違って、こちらは白いご飯。

では早速食べてみませう♪

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うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
おいしいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!

天使のオムライスでタマゴの美味しさを知り、ハッシュドビーフのオムライスで濃厚かつ絶妙な口どけを知る。

何だろう、この美味しさは。
もちろん、味付けやテクニックもあるんだけど、それを超えた何かが在る。

こころに響く美味しさ。

真心。

食を通じた、こころのふれあい。

本当に素敵な店だ。

帰り際、ミセスサンタにお礼を述べる。
「久しぶりにいただきましたが、やっぱりボクの中では飛び抜けて美味しいオムライスです」
「ありがとうございます」
「オムライスブログを書いているんですよ。店を舞台にしたストーリー付きで、ここのお店のも書かせていただきました。オムライスのある風景と言います。ここのお店の話は、中学時代に付き合ってた男女の話で……」

「知ってます、知ってます。いろいろなお店の話を書かれてますよね!」
ミセスサンタの隣りのもうひと方が声をあげる。
「えー、ご存知ですか! ありがとうございます」

「素敵なお話ですよね!」と、ミセスサンタ。

あたたかい言葉に、ボクの中から嬉しさがあふれ出る。

ミススサンタが続ける。
「ここで書いた方に会えるなんて……。主人と話してたんですよ。あのストーリーをお店に飾りたいねって。でも作家の方に無許可で出すのもいけないかと。お会いできて嬉しいです」

「いやあ、ボクも嬉しい限りです。よろしかったら、是非、お店にストーリーを飾ってください。名前と連絡先を書いておきます」

何という素晴らしい、至福の時間。

こころのふれあい。
こころのつながり。
素敵なお店での、素敵な出会い。

2015年8月8日。
この日の出来事が、ボクは生きている証の1ページにしっかりと刻み込まれた。

ラ・プラタのFacebookをリンクに追加させて頂きます……♪

では、併せてラ・プラタでのストーリー、「天使の忘れもの」を。。


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天使の忘れもの

 小さい頃の記憶は現実なのか夢の中のことなのか境界があいまいで、夢で見たことを本当にあったことと思い込み、大人になってもそれを実際の出来事だと信じ込んでいることがある。
 
 でもそれは、小さい頃に限ったことではないのでは。
 
 夢のような本当の話。本当のような夢の話。
 もしかしたら現実と夢の世界に境界なんてなく、気がつかないうちに人はそこを行き来しながら生きているのかもしれない。


   ☆


「ほら、この店」
 夏の夕方が日の入りを躊躇する頃、慎司は、真っ白いワンピースと麦わら帽子を身にまとった晴香と一緒にラ・プラタに向かう階段の前に立った。
「きっと要望に合うはずだよ」


   ☆


「松橋くん?」
 2週間ほど前の朝、いつもと同じ通勤電車のいつもと同じ席に座った慎司の前に、ミュールを履いた透き通った足が現れた。
 寝ぼけ眼で、ゆっくりと頭を上げ、足の持ち主の顔を見上げる。
 慎司を見ながら微笑む女性。
 ビデオカメラの焦点が合うように、やがて慎司の記憶の焦点が定まった。
「あ、えっ、なんで……」
 微笑みながら黙ってうなずくと、女性は
「隣、座ってもいい?」
 そう言いながら慎司の隣に腰掛けた。

 10年ぶりの再会だった。

「戻って来てたの?」
 中学の途中で日本を離れた晴香に向かって、慎司が言う。
「うん、たまたまね。またすぐ帰るんだけどね」

 初めて付き合った相手との再会。

 偶然というのは突然にやってくる。たまたまわずかしか帰ってきていない晴香に、この時間のこの車輌のこの席で会うなんて。
 再会を喜ぶ黒目がちの大きな目。
 さらさらとした長い髪。
 きちんと両膝に置かれた小さな手。
 品のある落ち着いた声。
 大人になった晴香をちらちらと見やる慎司の中から、美しい思い出が堰を切ったようにあふれ出す。

 あふれ出すのは思い出だけではなかった。
 嫌いで別れたわけではない。物理的な距離は、まだ幼い二人には遠すぎた。
 満員電車の空間が、まるで隣に座る晴香と二人しかいない観覧車の中のような、そんな錯覚に陥る。
 どうしようもなく、思いが、10年前に飛び込んでいく。
「もしよかったら、連絡先とか教えてもらえない?」
 自然と口をつく慎司の言葉に、晴香は戸惑いの表情を浮かべると、
「ごめんなさい。私、携帯持ってないし、連絡先はちょっと……」
 申し訳なさそうにそう答えた。
「そうなんだ。わかった。じゃあ、ボクは毎日この席に座っているから、時間があったらまた会いたいな」
 やがて慎司の降りる駅が近づいてきた。
 しばしの沈黙ののち、晴香がつぶやく。
「私も会いたい……」
 どこか憂いをたたえた声だった。
「ねえ、ひとつお願いがあるの」
 席を立とうとする慎司に向かって、意を決したような表情(かお)で晴香が言う。
「どこかで、あのときのクリスマスの続きがしたいなあ。私、2週間後にまたこの電車に乗る用があるから……そのときに会えたら」


   ☆


 ラ・プラタの前に立った慎司は、優しく晴香の手を取り、階段をのぼった。
「なんかわくわくする」晴香の嬉しそうな声が壁に響く。
「じゃあ、入ろうか」そう言いながらドアを開ける慎司。

 その瞬間、一面クリスマスの世界が飛び込んで来た。

「すごーい」大きな目を更に大きくしつつ、それ以上は声にならない晴香。

 お客さんのいない静かな店内は、優しく暖かい雰囲気に包まれている。
 奥のテーブルに着くと、二人はグラスワインと天使のオムライスを注文した。
「これ、そっちに置いといて」
 甘えた声で麦わら帽子を差し出す晴香。それを受け取りながら思わず笑がこぼれる慎司の前を、晴香のつややかな髪の香りと温もりが通り過ぎる。
「こんなとこあったんだあ……」キラキラと輝く晴香の目は、あたりを見回した。
「探したよ、夏にクリスマスができるところ」
「ごめんね、わがまま言って」
「ううん」慎司はゆっくりと首を横に振って続けた。
「神様はボク達を見捨てなかったね。だって、ボクもあの時の続きがしたかったんだから……」
 

   ☆


 中学2年のクリスマスイブ。この日、慎司と晴香は、近所の教会のクリスマスパーティーにクラスの仲間と参加していた。照明は落とされ、ほのかなキャンドルの踊りでパーティーは進んでいく。キリスト教のことはわからないが、パイプオルガンの音色にあわせてみんなで歌う賛美歌に、二人は厳かなものを感じていた。
 そんな中、キャンドルの向こうから晴香が慎司に耳打ちをする。
「ねえ慎司、結婚式ごっこしない。ほら、汝はこの者を妻としてって言うでしょ。あれやろうよ……」
「いいよ」一瞬とまどったが、慎司は頷いた。
 と、その時
「ではみなさん、席を変えて他の方々とお話しましょう」
 主催者の声が響いた。

 結局そのとき、晴香の要望が実現することはなかった。


   ☆


「では、カンパーイ」
 ワイングラスを重ねる二人。
「あの時はりんごジュースだったね」
 二人の笑顔があふれる。
「そうだったね……。ねえ、続きをしようか」

 ♫ Silent night, holy night! All is calm, all is bright.……

「きよしこの夜」が流れる店内は、静粛な空気に包まれている。

「じゃあ私からね。松橋慎司。汝はこの者を妻とし、健やかなるときも病める時も、生涯変わらぬ愛を誓いますか」

「……はい、誓います……。じゃあ、次はボク。青山晴香。汝はこの者を夫とし、健やかなるときも病める時も、彼を愛し、彼を助け、生涯変わらぬ愛を捧げ続けることを誓いますか」

「……はい、誓います」

 粛々と、二人の時間は流れて行く。

 ♫ I‘m dreaming of a white Christmas ……

「うそでもいいから、慎司には一度言ってほしかったんだ。ずっとそれを思ってたの。それと、ここって、なんかお母さんのお腹の中にいるみたいですごく安心する……」
 曲が「ホワイトクリスマス」に変わった頃、天使のオムライスを口にしながら晴香が言う。
「ありがとう、慎司、私のために。これで思い残すことなく帰れるわ。私、すごく幸せよ……」
「今度はいつ戻って来られるの?また会えるよね」
 黙って首を横に振る晴香。笑をたたえた潤んだ瞳の中で、照明がゆらゆらと揺れている。


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 その夜、眠りについた慎司は、遠くから聞こえる晴香の声を耳にした。

「さよなら、慎司」

 ふと、窓の外を眺める。

 トナカイが牽くそりが、澄み渡る天空に向かって駆け上がって行く。
 そこには、まるでウェディングドレスか羽のついた天使の服のような真っ白いワンピースに包まれ、麦わら帽子が飛ばないように片手で頭をおさえながら、一方の手を大きく振る晴香の姿があった。

 それを優しく見守り、手を振り返す慎司。

 ラ・プラタのときと同じ麦わら帽子からのつややかな髪の香りが、そよ風に乗って慎司の元に届く。

 ありがとう晴香。君は遠いところから、わざわざボクに会いに来てくれたんだね。

 あ、忘れ物……。
 慎司は天使のオムライスを前に二人で撮った写真を取り出した。
 ちょっと待ってて、今渡すから……。
 唇をかみしめながら、写真を、紙飛行機の形にひとつひとつ丁寧におり込んで行く。
 もうちょっと。
 もうちょっと。
 君と僕の。
 ボクとキミの。
 ……。

 さあ、できた。
 ふたりと天使のオムライスを乗せた紙飛行機が慎司の右手に握られる。
 晴香、ちゃんと受け取るんだよ!
 慎司の手を離れた紙飛行機は、スローモーションのようにゆっくりと、でも確実に、晴香の元へと飛んで行く。

 また出会ったら、今度こそ一緒になろうね。

 紙飛行機が到着したそりの上で、天使の羽がキラリと輝く。
 やがて小さくなったそりはひとつの光になり、ベガ、デネブ、アルタイルの夏の大三角形の中に吸い込まれ、静かに消えて行った。


 おわり

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2017
06.22

いつでもどこでもオムライス

時間がないとき。。

まあるい背中に元気を乗せて、

ささっと食べるオムライス

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ローソンの、ふわとろ玉子のオムライス

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いざ勝負!

まあるい背中に夢を乗せて、

競馬場で食べるオムライス

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東京競馬場、ニュートーキヨーのオムライス

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みんなでわいわい♪

まあるい背中に笑顔を乗せて、

仲間と食べるオムライス

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いきつけの店の店長が作ってくれたオムライス
(寺本さん、ありがとう!!)

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元気



笑顔

しあわせを運ぶ素敵な食べ物

いつでもどこでも、オムライス♪

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