FELICE - 2013.02.22 Fri
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新春第一弾!
気分一新、さて、どこに行きませうか???
やっぱり好きな街からだよね……ってことで横浜。
あれ? また横浜? どこが気分一新?
第1回から、藤沢 → 横浜 → 藤沢 → 横浜 って……。
なんか同じところをグルグル回っているだけじゃん。あれ、おかしいなあ。
でも、ハンマー投げみたいにサークル内でグルグル回って勢いをつけているのだから、きっと室伏広治選手のように金メダルが手に入るのさ、なんて必要もないのに訳のわからない言い訳を頭に浮かべつつ、いざ横浜へ!
当初は馬車道、関内方面を狙っていたのだけど、三が日はまだ営業していない。
ランドマークプラザも混んでいそうなので、横浜駅周辺で探すことに。
結局、9階と10階にオムライスを提供している店がある「そごう」に決めた。
ビルの中は人、人、人でごった返している。
上の階に行っても、一向に人の減る気配はない。
いやーな予感がよぎる。まさか……。
先ずは10階の「ダイニングパーク」にある「丸の内DINDON」を覗くと、15:00を回ってすでに食事時が過ぎているにもかかわらず、かなりの待ち状態。
えー、やばいじゃん!?
さて、9階はいかに。
不安を抱きつつエスカレーターで9階へ向かう。
ん? なんか人だかりと優雅な音色が……。
この階にあるイベント空間で、綺麗な着物に身を包んだ、小学生から高校生くらいの女の子達が舞を披露している。
「おっ、可愛い~(両目からハート×8)」と思いつつも、「自分に厳しくあらねばならん。ロリコンではないし、ロリコンではないし」と自分に言い聞かせ(冗談)、一目散に目的の店へ。
(今思うと、せっかくなので優雅な舞を見てゆったりとした気分になればよかった。ちょっと後悔)
目的の店は「FELICE(フェリーチェ)」。
ここにしかないオープンカフェだ。
う~ん、結構混んでいるし、ショーウィンドウにはケーキばっか。
謳い文句は「ケーキと紅茶の店」。
なんとか席を確保し、オムライスセット1,470円を注文。
なんかオムライスがあるのが場違いなカンジで、
「カフェでオムライスって食べて後悔するのかなあ。でもサラダとコーヒーor紅茶が付くとはいえ1,470円は
意外と高いし、給仕さんもちゃんとした格好をしているし」なんて期待と不安を抱きつつ出来上がりを待つことに。
やがて給仕さんの「大変お待たせ致しました」の丁寧な言葉とともにオムライスが運ばれてきた。
お、なんか美味しそ~!!

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うん、結構美味しい!
食べる前は「カフェのオムライスってどうなの?」って思っていたけれど、いけるじゃん。
うん、美味しい美味しい、パクパクパク。
チキンライスはちょっとパサっとしたカンジだけど卵はとろとろ。デミソースも美味しく食べやすい。で、すぐに食べ終わっちゃったんだけど、何となく物足りない気がする……。美味しいし、上にパセリがかかっていて綺麗なんだけど、何でだろう??
良くできているんだけど特徴がないのかな?
ボリュームも少なめ(?)で、オムライスそのものを楽しむというより、会話を楽しみながらオムライスも楽しむっていうのが合っているカンジ。ホント美味しいんだけどね……。
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そごうの9階は、実はそごうではなく「新都市ホール」なので他のフロアのように買い物客がいない。だから静かだし、フェリーチェはオープンカフェなので開放感もある。まあ、この日は結構混んでいたけれど、それでも10階のように待ち状態ではなかったし。
それに店の雰囲気がお洒落。ゆっくりとおしゃべりしながらお茶や食事を楽しむにはとてもいい空間だと思う。給仕さんの対応もとても丁寧で、好感が持てる。
意外と穴場かもしれない。
「ケーキと紅茶」のお店での「オムライスとコーヒー」だったけど、ケーキと紅茶はどうなのかなあ?? それも興味津津……。
2013年1月3日
■ 店舗情報 ■
・住所:神奈川県横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店 9F
・電話:045-451-6788
・営業時間:10:00~20:00
・定休日:不定休(そごうに準ずる)
FELICE 食べログ情報
フェリーチェ (カフェ / 横浜駅、新高島駅、神奈川駅)
さよならの向う側
「ごめんなさい。おまちどうさま」
そごうの大時計が約束の4時を10分ほど過ぎた頃、人ごみの中から真理は現れた。
1年ぶりの真理の姿を目にすると、達也は、“やあ”という言葉にならない言葉とともに、油の切れたロボットのような仕草で軽く右手をあげた。
「どこか希望の店はある?」宙に目をさまよわせ、達也が言う。
「いえ、どこでも」
「おなかは?おなか、すいてない?」
「大丈夫」
「じゃあ、9階のカフェに行こう」
事務的でぎこちない会話を交わすと、二人は無言でそごうの9階にあるカフェ「フェリーチェ」へと向かった。
「顔色いいね」オープンカフェの奥のテーブルに着くと、達也は言った。
「そうね。このところ調子はいいわ」荷物を椅子に置きながら真理が答える。
「ネイルサロンは順調?」
「おかげさまで。友達も宣伝してくれて、お客様も増えてきてる。あなたの方は?」
「うん、仕事は今まで通りかな。それと、炊事、洗濯、みんな君にまかせていたこともできるようになった。これでも、今更ながらちょっとは成長しているかな」
達也はおどけた仕草をしてみせた。
「それはよかったわ」口許を隠しながら、真理が笑う。
「笑顔が見れてよかったよ」
達也は笑顔を返しつつも、真理の笑顔が、夢の中の、手の届かない物語の世界のもののように思えた。
二人で会うのは……。
達也はぼんやりと天井を見つめた。
二人で会うのは、これが最後かな……。
――。
「お待たせいたしました」
手持ち無沙汰でやるせないしばしの沈黙の時間を、給仕が破ってくれた。
「何でこの店にしたの?」運ばれてきたアールグレイを口にしながら真理が尋ねた。
「いや、特に。強いて言えばオムライスがあるからかな」
「そうなんだ・・・」あたりをキョロキョロと見回しながら真理は続ける。
「ねえ、この店の名前の『フェリーチェ』の意味知ってる?」
きょとんとした顔で首を横に振る達也。
その達也を、穏やかな眼差しで見る真理。
「イタリア語で『幸せな』の意味。あなたにひとつだけ言っておくわ。女はいつも愛の前では臆病なものよ。愛を確かめないと不安で仕方がないの。だから、もしあなたに愛する女性(ひと)ができたら、どんなことでもいいからそのひとが安心するようなことをしてあげてね。例えばこの店に連れてきてあげて、連れてきた理由とフェリーチェの意味を教えてあげるの。それが幸せになる秘訣よ」
真理は、口許に笑みを浮かべた。その笑みは、まるで静かな湖の底でゆらゆらとゆらめく藻のように柔らかいものだった。
一瞬、達也の中で、そんな真理の笑顔が ”私ねえ、小さい時、いつも家の中の階段の真ん中で、ひとりで『みんな早く帰って来ないかなあ』なんて待ってる子だったんだよ” 甘えた声でそんな話をする出会った頃の真理の笑顔と重なった。
幸せになるために、お互いが選んだ道――。
それぞれが歩む、別々の道――。
「ご忠告ありがとう。ねえ、せっかくだからオムライス食べない? 昔みたいに」
「いいわ、じゃあいただくわ。オムライスを食べると幸せになれるって、誰かさん言ってたわよね」
何千人、何万人もの人が往来する都市空間の中、静かなオープンカフェで、二人の時間が、最後の二人だけの時間が、ゆっくりと、でも確実に過ぎ去って行く。
「じゃあ、これ、あとの手続きはよろしくお願いしますね」
食事を終えると、真理は達也に書類の入った封筒を手渡した。
それから二人は地下に降りると、キラキラときらめくイルミネーションで飾られたエスカレーターで横浜駅に向かい、「それじゃあ」とどちらともなく別れの挨拶を交わした。
達也は、西口方面に消えて行く真理の後ろ姿を追い続けた。
真理の姿が、だんだんと小さくなっていく。
心の中で、達也はつぶやく。
ねえ、「大好き」と「愛してる」の違いって何だと思う?
本当に君を愛しているのなら、ボクから開放してあげるのが愛だよね……。
人は記憶の呪縛から逃れられないものなのかなあ?
二人で作った幸せな時間が多いほど、思い出はつらい傷になるのかなあ……。
真理にあったら話そうと思っていたことはたくさんあった。
本当は男のほうが弱くておセンチかもしれない。
だけど、そんなものはいらない。
幸せになるためにお互いが選んで決めた道。
君に負けないくらい、ボクも幸せになるよ。
そして、もしどこかで君とばったり会うことがあったら、今度は大きな声で、笑顔で、ちゃんと「やあ」って言える人間になるから。
やがて真理の姿は、大海原に吸い込まれる水滴のように都会の雑踏に溶け込み、すっかり見えなくなった。
ありがとう。
さようなら。
それからしばらくして、真理が去っていった方をぼんやりと見ていた達也は、向きを変えピンと背筋を伸ばすと改札を通り抜けていった。
そう、幸せな明日行きの電車に乗るために……。
SHIRO - 2013.02.22 Fri

クリスマスも終わり街が2012年のゴールへのラストスパートをかける中、第1回で行きそびれたRestaurant SHIROへと向かう。
勝手知った我が庭、地元藤沢、南口駅前ロータリーを抜けイトーヨーカドー方面へ。
えーと、確かこの辺の角を……あれ?……この道沿いじゃなかったっけ……あれ??
勝手知った我が庭、地元藤沢、道に迷った!!
しかも先日店の前まで来たのに……。
ボケの始まりか??
通りから1本入ったところの、まあ、けっこうわかりにくい場所にあるのは確か。
1階が「萬福酒楼」という中華料理屋のビルの3階にある。
「へえー、こんなところにこんな店があったんだ」ってカンジ。
入口付近にランチの看板。うーん、ロゴからしてかなりお洒落。
第1回、第2回とは全く違う匂いを肌で感じながら、
レンガ風の階段をのぼり3階へ。
ガラス扉を開けると、白を基調としたお洒落な空間と
ギャルソンの格好をした美しい女性の笑顔が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ」
硬派の自分としては、素直に「は~い」……。

平日のランチタイム。
店には夫婦らしきお客さんがひと組だけ。
一番奥の席に陣取り、今回は脇目もふらずに「オムライス」を注文。
ただし、オムライスにも3種類ある。
メニューを見ると、先ず「クラシックデミグラスソース1,200円。ケチャップライスにとろとろ卵。昔ながらの定番」。
次に「海老とチーズのトマトソース1,300円。ケチャップライスにチーズの入ったとろとろ卵。自慢のトマトソースで」。
3つ目が「湘南しらすとあさりのかき揚げのせ 生のりソース1,300円。十五穀米ととろとろ卵。サクサクのかき揚げと一緒に」
かき揚げにも惹かれたけど、最初はオーソドックスにと迷わずクラシックを注文。
ちなみにランチはセットなので、サラダ、コーヒーor紅茶、デザートがついて来る。
料理の出来上がりを待つ間に夫婦らしきお客は食事を終えて帰り、入れ違いで4人のおばさん、いや、素敵なおねーさま方が来店。
ボクのとなりの席にお着きになられた。
世間話に花を咲かせる4人。
そのうち「大島渚って生きてたっけ???」(Aさん談)って話題に。
「え、もう死んじゃったんじゃなかった」と語るBさん。
「そうよそうよ」と相槌を打つCさん。
「え、そうだっけ」と自信なさげのDさん。
ついつい「大島渚さんはご存命でいらっしゃいますよ」と、Eさんになって口をはさんでしまった!
(その後の訃報、ショックでした。心よりご冥福をお祈り致します)
「あ、やっぱりそうですよね」とDさん。
「小山明子さん、駅付近で見ますよ」とも。
「私もそうだと思ったのよー」とCさん(Aさんかも。記憶が曖昧)。
ちなみに小山明子さんは大島渚さんの奥さんで、半身不随の夫の介護を続けている。
「そうですかあ。介護も大変ですよね」
そう言いながら、笑顔のまま全速力で会話から退散した。
さてオムライス。
その1、見た目で楽しめる!
う~ん、美しい!配色や盛り方は本格イタリアンかフレンチの装い。
その2、食感で楽しめる!
卵のとろとろ、ご飯のホクホク、上に乗ったポテトのカリカリ。
その3、味で楽しめる!
繊細な味。ダイナミックに食べたい人には物足りないかも。
ソースはコク、苦味、クリーミーな味がいい塩梅に調和している。
ボリュームは少ないかな。



サラダ(前菜) → オムライス → コーヒー → デザートに溶け込んだオムライスって気がした。
それもありだと思う。
オーナーシェフのシローさん(お、カッコいいじゃん!)は片瀬山のPINYで腕を磨いた方。
とてもお若そうだし竹野内豊風(あくまでも主観)の顔立ちで、その点も女性にはおすすめ。
地元藤沢で開店との思いでこの場所を選択。一緒に働く女性は奥さんかな??
和風オムライスは旬の素材を使って季節によってメニューを変えるとのこと。次はこれだな。
老舗の伝統もいいけれど、こういった本格イタリアンorフレンチなオムライスというのも新しい時代を感じてとてもワクワクする。手作りデザートとコーヒーも美味しい!!
地元民としては応援しちゃいますよ~!
2012年12月28日
■ 店舗情報 ■
住所:神奈川県藤沢市鵠沼石上1-4-11 3F
電話:050-5816-3550
営業時間:【ランチ】11:30~14:30 【ディナー】17:30~22:00
定休日:火曜日
SHIRO 食べログ情報
レストラン シロー (洋食 / 藤沢駅、石上駅)
心友
「やっぱり、麻美はもっと肩の力を抜いたほうがいいよ」
おしぼりの袋を開けながら玲子が言った。
栗色の風が、穏やかな秋の街を包んでいる。
"SHIROのランチを食べながらだね"
今は遠く離れた、高校時代のテニス部仲間の玲子のそんな提案で迎えた2年ぶりの再会。
「もっと明るく自由に遊び心をもってもいいんじゃあないかなあ。ピンと張り詰めて頑張ってるだけじゃあいつか切れちゃう。それに北海道に行こうがどこに行こうが、現実から逃げてたら何も変わらないし、変えられないよ」
「そうだよねえ……」
麻美は頬杖をつきながら遠くの方にぼんやりと目をやる。
しばらくの間、沈黙の時間が続いた。
1週間前、麻美は何かから逃れたい衝動に駆られひとりで北海道に出かけてみたが、玲子の言うとおり結局は何も変わらなかったし、変えてくれなかった。
バーンアウト――燃え尽き症候群。それと、現実逃避。
自分でも「あれ私おかしいな」と思い始めたのは、夏休み中のカナダへの短期留学から帰ってきて就職の準備活動に入ってからだ。
「あなたはどんな仕事がしたいのですか?」
いろいろな人に聞かれる度に、自信を持って
「はい、出版の企画をやりたいです」そう答えてきた。
でも、本当にそうなの?
休み中に1日1企画って目標たてたけど、できないじゃん。
人が立てた企画にはあれこれ言うくせに、自分で企画なんて、できないじゃん。
結局自分は批評しているだけで、クリエイティブなことなんて好きじゃないんじゃないの?
本当に好きで目指している人に失礼だよ……。
「あなたは大学時代にどんな活動をしてきましたか?」
そんな質問には、声高らかに
「はい、数カ国にステイして見聞を広めました。それと、英検1級、色彩2級を取得しました」、
そう答えた。
返ってきた言葉は
「そうですか。ところで、何か、団体でやったことはありませんか?あるいは中心になって団体をまとめたとか。社会人としてはそれが重要ですからねえ」
大学に入ってからの3年間に将来の就職のためにと築き上げてきた価値観が、足元からガラガラと音を立てて崩れた。
私は何に向かっていけばいいの?
私はどこに行くの?
何もやる気がおきない……。
社会に出る前に自分を磨かなきゃあ、その一心で頑張って来たけれど、でも私がやってきたことって、何もかもが偽りだったってこと?
もうわからない……。
「ねえ麻美、覚えてる?」
沈黙を破り玲子がつぶやいた。
「私が下手で、ダブルスでいつも私が麻美の足を引張ってたときに言ってくれた言葉」
麻美は玲子の方に目をやった。
「大事なのは2人が協力して作戦を立ててそれに向かって行けたかどうかで、結果的にポイントがとれたかどうかは重要じゃあないって言ってくれたでしょ。あれはねえ、ほんと嬉しかったんだよ。それから気が楽になってミスも減ったし、試合で周りが見れるようになった」
そう語る玲子の目は、あの時と何も変わっていない。
インターハイ行きを決めた、ただ素直に嬉しさにあふれたあの時の目と、何も変わっていない。
その瞬間、麻美には、玲子の目が麻美を催眠から解き放ってくれる魔法の目に見えた。
「あの時の麻美は毎日をすごく楽しんでたし、すごく輝いてた。でもね、麻美はシングルスも強くて、みんなには見せずにコートではいつもつらい思いもひとりで背負って頑張ってたから、実はちょっと心配してたんだ。高校卒業してから私もいろいろあったけど、麻美とはずっと心がつながってると思ってる。今の麻美は私の知ってる麻美じゃない! だから今度は私が麻美に言ってあげる。大事なのは2人が協力して作戦を立ててそれに向かって行くこと。麻美はひとりぼっちじゃあないよ。私たちは『心の友』、しんゆう、だよね。一緒に作戦考えよ……」
こころの友。
心友……。
麻美は、大人になることばかりを気にして忘れかけていた大切なものを思い出せそうな気がした。
「そう言えばこの店、貸切でパーティーもできるんだよ!今度、みんな誘って女テニの同窓会やろっか?」
美味しそうにオムライスを頬張りながら玲子が笑う。
麻美も、笑顔でオムライスを頬張る。
玲子の言葉のようにほろ苦くて、でもクリーミーで甘いソースが、じわーんと目にしみた。
「うん!」
そう答える麻美の目は、確実に湘南中央高校女子テニス部キャプテンのそれを取り戻そうとしていた。