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2014-08

川越にて その3 - 2014.08.17 Sun

「なななのか」とは「四十九日」のことである。
「初七日」と対比してみればわかり易い。
「初・七日」ならぬ、「七・七日」である。

納骨までのこの間に、人の魂はさ迷い歩く。
この映画は、元病院長の鈴木光男が「3月11日の14時46分」に他界してから芦別の野で現実とも夢の世界ともとれる四十九日の法要を行う(つまり、「野の、なななのか」)までの物語である。

ここではあらすじは書かない。
興味のある方は、公式ページ ( ← リンク )と予告編、それと何といっても、映画を教えてくださったお二方の珠玉の記事をご覧頂きたい。

つかりこさん ゆらゆら草の5月20日の記事 ( ← リンク )
映画カッパさん 映画的日記の7月27日の記事 ( ← リンク ) 

お二方にはいつも楽しませて頂いている上に、この記事のときに丁度ボクのブログを紹介頂いている。
とても感謝であると同時に、何かのご縁を感じざるを得ない。

● 野のなななのか予告編



人は常に誰かの代わりに生まれ、誰かの代わりに死んでいく。

明るく、淋しく、悲しく、そして美しい楽曲が劇場に木霊する。
野の楽師パスカルズの演奏とともに、劇場は芦別へと、いや、芦別の風景をした天界へと移り行く。

そして……。
畳みかけるようなセリフの応酬。軽快であるが意味不明なそのセリフは、会話と言うよりも観ている人に向けて話しているようである。
美しい大自然の景色とわざとらしいセット。
舞台のような「不自然な自然」をちりばめた演出が、ボクの魂を異次元へと連れ去っていく。

話が進むにつれ、鈴木光男の過去が明らかになっていくのだが、本人も亡くなり、もはや誰も知らない過去を何故知ることができるのか?

それを知リ得るのは、「映画を観ている者」、だからである。
この、不自然(虚構)から成り立つ自然(本質)。

過去と未来。
死者と生者。
交わることが不自然である世界が、大林ワールドで自然と溶け合ってゆく。

輪廻?
運命?

この映画の出演にあたり、常盤貴子さんは次のように述べている。
「野のなななのか」ほど、「今がそのときなんだ!」と何度も思ったことはありませんでした。全ての偶然という必然が大林監督の周りに集結し、監督の世界に巻き込まれ……。「野のなななのか」そのもの(笑)。
私自身、20年も前から監督とのお仕事に憧れていました。スターダストプロモーションという事務所の中で治外法権的ポジションになった今だからこそ、どっぷりと大林組に参加させて戴けたんだと思います。あとは、映画を観る皆さんの「その時」を信じて☆

とてもよくわかる。
今がその時。
偶然という必然。
まさに、点と点が交錯する瞬間。

ボクは今、父が他界したこの時に、この川越スカラ座という映画館の原点のような場所でこの映画を観ることができた。
とても感慨深いし、観ようと思いつつこの日まで何だかんだで観ることができなかったのも、「まだ時期が早い」と何ものかに止められていたように思える。

上映が終わりロビーに出たボクは、「川越スカラ座お客さまノート」のもとに向かった。
そして、この日、この地を訪れたことをしっかりと書き留めた。

受付カウンターの女性に挨拶をして川越スカラ座を後にする。
ちょっと空が泣きだした夏の日の夕方。
でも、ボクのこころの中には青い空が広がっている。
青い空と言っても、美しいとか、晴れ晴れしたとかではなく、「言葉のない無の世界」だ。
そして、劇中で用いられていた中原中也の詩がこころに響く。


夏の日の歌

青い空は動かない、
雲片(ぎれ)一つあるでない。
 夏の真昼の静かには
 タールの光も清くなる。

夏の空には何かがある、
いぢらしく思はせる何かがある、
 焦げて図太い向日葵(ひまはり)が
 田舎の駅には咲いてゐる。

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
 山の近くを走る時。

山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
 夏の真昼の暑い時。


空を見上げる。
青い空は動かない、か…・・・。

これ以上、もう、言葉はいらない。

おわり

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Author:Omunao
神奈川県に住むオムライス好きの男性です。
食べに行ったお店の超個人的食べレポと、その店で思い浮かんだショートストーリー(食べレポのページにくっついています)、それと気まぐれ記事を好き勝手に書き綴ります!

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