たかがラーメン、されどラーメン - 2015.11.20 Fri
2014年4月11日。ひとりの男がこの世を去った。
人呼んで、ラーメンの鬼。
かつてTBS系列で放映された「ガチンコ!」の中の企画、「ガチンコラーメン道」で一躍有名になった、佐野実さん。
佐野さんが経営する「支那そばや」は「香水、私語、携帯電話、タバコ、乳児との入店禁止」と言われ、「たかがラーメンなのに偉そう」と物議をかもし出した。
たかがラーメン。
されどラーメン。
佐野さんのラーメンへのこだわりはハンパない。
水はスープのコクを生み出すためにアルカリ性に変換。
スープに使う鶏ガラは名古屋コーチン。
麺に使うかん水はモンゴル産。
ネギは九条ネギ。
豚肉は中型のヨークシャー種。
醤油味と塩味で分けている器は有田焼。
一杯のラーメンがおりなす世界。
そこは佐野さんの創作ワールドか、はたまた作る側と食べる側とのガチンコ対決の場か……。
この日は仕事帰りに戸塚にある本店に足を運んだ。
暖簾をくぐり、店内へ。

塩か醤油か。
佐野さんの塩へのこだわりが脳裏に浮かぶ。
よし、塩にしよう!
食券を買い席に着く。

ほどなくしてラーメンが登場。

さあ、佐野さん、行くぜ!
アドレナリンが体中を駆け巡る。
スープをひと口。
う、うまい!!!
ゴングが鳴った瞬間に右ストレートをまともに受ける。
な、なんだこの深い味わいは……。
フック、アッパー、どこから飛んでくるかわからない素早いパンチが容赦なく襲ってくる。
のどごしのよい麺。

柔らかくジューシーな豚肉。

その全てにおいて、何たる上質。
完全に打ちのめされ意識が朦朧とする。
お・い・し・い……。
「だろ!」
そう叫ぶ佐野さんの笑顔が瞼に浮かぶ。
キレのあるとがった味を想像していたのだが、とてもまろやかで、やさしい味。
強面のガンコおやじの中にある、とびきり深い愛情と情熱。
そう言えば、佐野さんは「不味いものをけなす」印象が強いけど、美味しいものをほめ湛えるときは人一倍感情をあらわに話していたっけ……。
お客さんで賑わう店内。
かつての禁止事項は、今はもうない。
柔和な顔が並ぶ。
一心不乱にラーメンを作る若い店員さん。
佐野さんの愛情と情熱は、間違いなく今日の「支那そばや」に受け継がれている。
完食し、満足と愛情と情熱を土産に店を出る。

麺は男
スープは女
う~ん、深いなあ。。
佐野さん、今でもこだわりのラーメンを作り続けてるのかなあ……。
夜空を見上げる。
ちょっぴり冬色をした風が吹き抜ける。
冷えた体を、
そして、
こころをあたためてくれる、
とびきりあたたかいラーメンを、
ありがとう。
いつかまた、どこかで……。

人呼んで、ラーメンの鬼。
かつてTBS系列で放映された「ガチンコ!」の中の企画、「ガチンコラーメン道」で一躍有名になった、佐野実さん。
佐野さんが経営する「支那そばや」は「香水、私語、携帯電話、タバコ、乳児との入店禁止」と言われ、「たかがラーメンなのに偉そう」と物議をかもし出した。
たかがラーメン。
されどラーメン。
佐野さんのラーメンへのこだわりはハンパない。
水はスープのコクを生み出すためにアルカリ性に変換。
スープに使う鶏ガラは名古屋コーチン。
麺に使うかん水はモンゴル産。
ネギは九条ネギ。
豚肉は中型のヨークシャー種。
醤油味と塩味で分けている器は有田焼。
一杯のラーメンがおりなす世界。
そこは佐野さんの創作ワールドか、はたまた作る側と食べる側とのガチンコ対決の場か……。
この日は仕事帰りに戸塚にある本店に足を運んだ。
暖簾をくぐり、店内へ。

塩か醤油か。
佐野さんの塩へのこだわりが脳裏に浮かぶ。
よし、塩にしよう!
食券を買い席に着く。

ほどなくしてラーメンが登場。

さあ、佐野さん、行くぜ!
アドレナリンが体中を駆け巡る。
スープをひと口。
う、うまい!!!
ゴングが鳴った瞬間に右ストレートをまともに受ける。
な、なんだこの深い味わいは……。
フック、アッパー、どこから飛んでくるかわからない素早いパンチが容赦なく襲ってくる。
のどごしのよい麺。

柔らかくジューシーな豚肉。

その全てにおいて、何たる上質。
完全に打ちのめされ意識が朦朧とする。
お・い・し・い……。
「だろ!」
そう叫ぶ佐野さんの笑顔が瞼に浮かぶ。
キレのあるとがった味を想像していたのだが、とてもまろやかで、やさしい味。
強面のガンコおやじの中にある、とびきり深い愛情と情熱。
そう言えば、佐野さんは「不味いものをけなす」印象が強いけど、美味しいものをほめ湛えるときは人一倍感情をあらわに話していたっけ……。
お客さんで賑わう店内。
かつての禁止事項は、今はもうない。
柔和な顔が並ぶ。
一心不乱にラーメンを作る若い店員さん。
佐野さんの愛情と情熱は、間違いなく今日の「支那そばや」に受け継がれている。
完食し、満足と愛情と情熱を土産に店を出る。

麺は男
スープは女
う~ん、深いなあ。。
佐野さん、今でもこだわりのラーメンを作り続けてるのかなあ……。
夜空を見上げる。
ちょっぴり冬色をした風が吹き抜ける。
冷えた体を、
そして、
こころをあたためてくれる、
とびきりあたたかいラーメンを、
ありがとう。
いつかまた、どこかで……。
