2017
03.20

コトブキ

イセザキの外れでノスタルジーに浸る

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3月19日、日曜日の午後1時。
関内駅で降り、マリナード地下街を伊勢佐木町方面へと向かう。

やがて突き当りに到達。
看板の指示に従って階段を上がると、伊勢佐木町商店街、通称「イセザキモール」の入口が視界に飛び込んできた。

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晴れ渡った空。
柔かい陽ざし。
そして、さわやかな風が舞う。

銀座を散策するのが「銀ブラ」ならば、伊勢佐木町を散策するのは「イセブラ」。
かつて日本の最先端よろしく我が世の春を謳歌したそんな商店街だが、今では春爛漫の商店街を行き交う人々は、さほど多くない。
いや、多くないどころか、みなとみらい地区が栄える一方で、まるでさびれた地方都市の商店街のような様相を呈している。

立ち並ぶ建物も時代とともに移り行く。
「松屋」は「JRA場外馬券売場のエクセル伊勢佐木」へと変わり、「横浜松坂屋」は「カトレヤプラザ伊勢佐木」へと変貌した。
「目的の店」まではイセザキモールの入口から10分程度。
住人が変わったかつての我が家を見るかのように、ちょっとした寂しさとよそよそしさが歩く速度を早めさせる。

そんな中、変わらぬ建物にこころがほっとする。
神奈川県民にとって本屋と言えば、明治から続く老舗の「有隣堂」。
こちらはその本店だ。

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1丁目、2丁目を過ぎ、3丁目の交差点をさらに直進。

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4丁目では「伊勢佐木町ブルース」の歌碑がお目見えする。

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青江三奈さんが100万枚のヒット曲「伊勢佐木町ブルース」を歌ったのは1968年のこと。
高度経済成長期、まさに昭和が隆盛を極めた時代である。
歌碑は青江三奈さんを讃えて商店街の組合が作ったもので、歌碑にあるボタンを押すと「伊勢佐木町ブルース」が流れる仕組みになっている。

さらに歩を進め5丁目に。
ここまで来ると、「商店街の外れ」の色が濃く、それと反比例するかのごとくイセザキの色と人影がうすらいで行く。

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そんな5丁目に、この周辺の食文化を支えて来た老舗洋食屋が、ひっそりと佇んでいる。


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コトブキ

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コトブキは1954年(昭和29年)の創業。
以前は大岡川方面の若葉町に店を構えていたのだが、2002年に道を一本へだてた伊勢佐木町に移転した。
旧店舗のそばには、コトブキと共に同時代を歩み、2005年に閉館した横浜日劇があった。

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出典:wikipedia

ヨコハマの光も闇も知り尽くした、生き字引のようなコトブキ。今は24時までの営業だが、最近までは創業以来ずっと年中無休の24時間営業を続け、土地柄、買い物客やらカップルやら水商売の方やら、幅広い客層を収容してきた。
まだ移転してきてからそんなに月日は経っていないが、それでも歴史の重みを感じさせる老舗大衆食堂の雰囲気を、しっかりとかもしだしている。

ドアを開け店内に。

入口から見て左側にテーブルが5つ。
うち、真ん中は3人掛けで、残り4つは4人掛け。
右側は二人掛けが8つ並んでいる(壁側はソファーになっている)。

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先客はふた組。
女将さんに「先生」と呼ばれている初老の男性客がひとりと、母子連れの3人組。

間髪を入れずにオムライスを注文。
価格は730円(税別)と、お値ごろ。

辺りを見回す。
2002年の移転なので、店内はそれなりに新しいのだが、随所に昭和が見え隠れする。
極めつけはBGM。
古めかしい洋楽が、これまたトランジスタラジオから流れるような古めかしい音で流れている。

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ここはどこ?
いつの時代?
一瞬、心身が時代錯誤に陥る。

と、目の前をオムライスが通過する。
どうやら先客の子供が注文したものらしい。
母子3人組のこどもふたりはともに小学校高学年(4~5年くらい?)の様相。
なんだかうれしい。

" たくさんお食べ "

子供たちが美味しそうにオムライスをほおばっている姿を見ると、思わず笑みがこぼれてしまう。

やがてボクが注文したオムライスも出来上がった!

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おー!
美味しそう!!
これぞ典型的な昔ながらのオムライス。
中のライスもチキンライスだし、玉子の黄色、ケチャップの赤、千切りキャベツの黄緑の配色もまるでお手本のよう。
それにしじみの味噌汁がついている。
これも美味しそう。。

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ボリュームもたっぷり。
食べ応えがありそう。

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では、いっただきま~す!!

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うん、美味しい!
それに、濃い!
めっちゃ濃い味。
しかも、塩気のつよい味付け。
クリームを入れたマイルドな味とは真逆。

キャベツにはドレッシングもマヨネーズもかかっていないけど、何もつけずにオムライスと一緒に食べてちょうどいいい。

いいなあ、これ。
懐かしい味。
しばし、ノスタルジーに浸る。

よく見ると、壁にキャベツの食べ方が貼られている。
なるほど、納得。

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しばらくして、先客の母子連れが食事を終えレジに向かう。

「どっちが上かな?」
女将さんが男女の子供に尋ねる。
「一緒!」

二卵性双生児のようだ。

「どっちが強いのかな?」
再び女将さんの質問が飛ぶ。
「お姉ちゃん」
男の子が応える。
「男の子は強くならないとね」
笑顔のおかみさん。
はにかむ男の子。

男は強くかあ……。

横浜、いや、ヨコハマに来ると、しかも野毛や伊勢佐木町、いやイセザキに来ると、ハードボイルドの世界が脳裏をよぎる。

タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。
If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

レジに佇む母子連れと女将さんに目をやりながら、心の中でつぶやく。
女将さん、その男の子はきっとお姉ちゃんより強いんだよ。
でも、やさしいから、お姉ちゃんをたててんだよ。
だって、ふたり仲良く、この店の最高に美味しいオムライスを笑顔で食べてたんだから。

母子連れが去ったあとのテーブルには、ご飯粒ひとつも残っていないきれいな食器。
創業以来、いったいどれくらいの人がこの店の味で育っていったのだろう。

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ヨコハマ。
イゼザキ。

中学高校時代にお世話になった街。

" 帰りにエアライフルやろうぜ! "
友達の声が蘇る。

ある意味、ボクの故郷。
上辺だけのやさしさや飼いならされたマイルドなんていらない。
いつまでも、変わらずに、ここにあってほしい。

■ コトブキ
・TEL 045-251-6316
・住所 神奈川県横浜市中区伊勢佐木町5-129-9
・営業時間 9:30~24:00
・定休日 年中無休


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コメント
こんばんは。

18日の土曜日のお昼に
TVでオムライスマニアの方の放送がありました。

ファミスタを開発した岸本さんという方でした。
立川の東京ドームオムライスというものが最初の映像でした。
二軒目は東小金井のキッチンブラウンのオムライス。
鉄板でビーフシチューをかけたものでした。

本当にオムライスっていいですね。
いろんなバージョン食べてみたいです。
ちなみにナンバの松屋、まだまだ行けそうにありません(笑)
孝ちゃんのパパdot 2017.03.21 01:11 | 編集
孝ちゃんのパパさん、こんにちは!

オムライス、いいですよね♪
岸本さんはいろいろなオムライスを食べ歩いていらっしゃる方で、それはそれはものすごい種類のオムライスをご存知です。。
老若男女問わず、食べていてしあわせな気分になれるなんて素晴らしいです。

> ちなみにナンバの松屋、まだまだ行けそうにありません(笑)

ゆっくりと、時間ができたらぜひに。。
楽しみにしてます!!
Omunaodot 2017.03.21 07:04 | 編集
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