SHIRO - 2013.02.22 Fri

クリスマスも終わり街が2012年のゴールへのラストスパートをかける中、第1回で行きそびれたRestaurant SHIROへと向かう。
勝手知った我が庭、地元藤沢、南口駅前ロータリーを抜けイトーヨーカドー方面へ。
えーと、確かこの辺の角を……あれ?……この道沿いじゃなかったっけ……あれ??
勝手知った我が庭、地元藤沢、道に迷った!!
しかも先日店の前まで来たのに……。
ボケの始まりか??
通りから1本入ったところの、まあ、けっこうわかりにくい場所にあるのは確か。
1階が「萬福酒楼」という中華料理屋のビルの3階にある。
「へえー、こんなところにこんな店があったんだ」ってカンジ。
入口付近にランチの看板。うーん、ロゴからしてかなりお洒落。
第1回、第2回とは全く違う匂いを肌で感じながら、
レンガ風の階段をのぼり3階へ。
ガラス扉を開けると、白を基調としたお洒落な空間と
ギャルソンの格好をした美しい女性の笑顔が出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ」
硬派の自分としては、素直に「は~い」……。

平日のランチタイム。
店には夫婦らしきお客さんがひと組だけ。
一番奥の席に陣取り、今回は脇目もふらずに「オムライス」を注文。
ただし、オムライスにも3種類ある。
メニューを見ると、先ず「クラシックデミグラスソース1,200円。ケチャップライスにとろとろ卵。昔ながらの定番」。
次に「海老とチーズのトマトソース1,300円。ケチャップライスにチーズの入ったとろとろ卵。自慢のトマトソースで」。
3つ目が「湘南しらすとあさりのかき揚げのせ 生のりソース1,300円。十五穀米ととろとろ卵。サクサクのかき揚げと一緒に」
かき揚げにも惹かれたけど、最初はオーソドックスにと迷わずクラシックを注文。
ちなみにランチはセットなので、サラダ、コーヒーor紅茶、デザートがついて来る。
料理の出来上がりを待つ間に夫婦らしきお客は食事を終えて帰り、入れ違いで4人のおばさん、いや、素敵なおねーさま方が来店。
ボクのとなりの席にお着きになられた。
世間話に花を咲かせる4人。
そのうち「大島渚って生きてたっけ???」(Aさん談)って話題に。
「え、もう死んじゃったんじゃなかった」と語るBさん。
「そうよそうよ」と相槌を打つCさん。
「え、そうだっけ」と自信なさげのDさん。
ついつい「大島渚さんはご存命でいらっしゃいますよ」と、Eさんになって口をはさんでしまった!
(その後の訃報、ショックでした。心よりご冥福をお祈り致します)
「あ、やっぱりそうですよね」とDさん。
「小山明子さん、駅付近で見ますよ」とも。
「私もそうだと思ったのよー」とCさん(Aさんかも。記憶が曖昧)。
ちなみに小山明子さんは大島渚さんの奥さんで、半身不随の夫の介護を続けている。
「そうですかあ。介護も大変ですよね」
そう言いながら、笑顔のまま全速力で会話から退散した。
さてオムライス。
その1、見た目で楽しめる!
う~ん、美しい!配色や盛り方は本格イタリアンかフレンチの装い。
その2、食感で楽しめる!
卵のとろとろ、ご飯のホクホク、上に乗ったポテトのカリカリ。
その3、味で楽しめる!
繊細な味。ダイナミックに食べたい人には物足りないかも。
ソースはコク、苦味、クリーミーな味がいい塩梅に調和している。
ボリュームは少ないかな。



サラダ(前菜) → オムライス → コーヒー → デザートに溶け込んだオムライスって気がした。
それもありだと思う。
オーナーシェフのシローさん(お、カッコいいじゃん!)は片瀬山のPINYで腕を磨いた方。
とてもお若そうだし竹野内豊風(あくまでも主観)の顔立ちで、その点も女性にはおすすめ。
地元藤沢で開店との思いでこの場所を選択。一緒に働く女性は奥さんかな??
和風オムライスは旬の素材を使って季節によってメニューを変えるとのこと。次はこれだな。
老舗の伝統もいいけれど、こういった本格イタリアンorフレンチなオムライスというのも新しい時代を感じてとてもワクワクする。手作りデザートとコーヒーも美味しい!!
地元民としては応援しちゃいますよ~!
2012年12月28日
■ 店舗情報 ■
住所:神奈川県藤沢市鵠沼石上1-4-11 3F
電話:050-5816-3550
営業時間:【ランチ】11:30~14:30 【ディナー】17:30~22:00
定休日:火曜日
SHIRO 食べログ情報
レストラン シロー (洋食 / 藤沢駅、石上駅)
心友
「やっぱり、麻美はもっと肩の力を抜いたほうがいいよ」
おしぼりの袋を開けながら玲子が言った。
栗色の風が、穏やかな秋の街を包んでいる。
"SHIROのランチを食べながらだね"
今は遠く離れた、高校時代のテニス部仲間の玲子のそんな提案で迎えた2年ぶりの再会。
「もっと明るく自由に遊び心をもってもいいんじゃあないかなあ。ピンと張り詰めて頑張ってるだけじゃあいつか切れちゃう。それに北海道に行こうがどこに行こうが、現実から逃げてたら何も変わらないし、変えられないよ」
「そうだよねえ……」
麻美は頬杖をつきながら遠くの方にぼんやりと目をやる。
しばらくの間、沈黙の時間が続いた。
1週間前、麻美は何かから逃れたい衝動に駆られひとりで北海道に出かけてみたが、玲子の言うとおり結局は何も変わらなかったし、変えてくれなかった。
バーンアウト――燃え尽き症候群。それと、現実逃避。
自分でも「あれ私おかしいな」と思い始めたのは、夏休み中のカナダへの短期留学から帰ってきて就職の準備活動に入ってからだ。
「あなたはどんな仕事がしたいのですか?」
いろいろな人に聞かれる度に、自信を持って
「はい、出版の企画をやりたいです」そう答えてきた。
でも、本当にそうなの?
休み中に1日1企画って目標たてたけど、できないじゃん。
人が立てた企画にはあれこれ言うくせに、自分で企画なんて、できないじゃん。
結局自分は批評しているだけで、クリエイティブなことなんて好きじゃないんじゃないの?
本当に好きで目指している人に失礼だよ……。
「あなたは大学時代にどんな活動をしてきましたか?」
そんな質問には、声高らかに
「はい、数カ国にステイして見聞を広めました。それと、英検1級、色彩2級を取得しました」、
そう答えた。
返ってきた言葉は
「そうですか。ところで、何か、団体でやったことはありませんか?あるいは中心になって団体をまとめたとか。社会人としてはそれが重要ですからねえ」
大学に入ってからの3年間に将来の就職のためにと築き上げてきた価値観が、足元からガラガラと音を立てて崩れた。
私は何に向かっていけばいいの?
私はどこに行くの?
何もやる気がおきない……。
社会に出る前に自分を磨かなきゃあ、その一心で頑張って来たけれど、でも私がやってきたことって、何もかもが偽りだったってこと?
もうわからない……。
「ねえ麻美、覚えてる?」
沈黙を破り玲子がつぶやいた。
「私が下手で、ダブルスでいつも私が麻美の足を引張ってたときに言ってくれた言葉」
麻美は玲子の方に目をやった。
「大事なのは2人が協力して作戦を立ててそれに向かって行けたかどうかで、結果的にポイントがとれたかどうかは重要じゃあないって言ってくれたでしょ。あれはねえ、ほんと嬉しかったんだよ。それから気が楽になってミスも減ったし、試合で周りが見れるようになった」
そう語る玲子の目は、あの時と何も変わっていない。
インターハイ行きを決めた、ただ素直に嬉しさにあふれたあの時の目と、何も変わっていない。
その瞬間、麻美には、玲子の目が麻美を催眠から解き放ってくれる魔法の目に見えた。
「あの時の麻美は毎日をすごく楽しんでたし、すごく輝いてた。でもね、麻美はシングルスも強くて、みんなには見せずにコートではいつもつらい思いもひとりで背負って頑張ってたから、実はちょっと心配してたんだ。高校卒業してから私もいろいろあったけど、麻美とはずっと心がつながってると思ってる。今の麻美は私の知ってる麻美じゃない! だから今度は私が麻美に言ってあげる。大事なのは2人が協力して作戦を立ててそれに向かって行くこと。麻美はひとりぼっちじゃあないよ。私たちは『心の友』、しんゆう、だよね。一緒に作戦考えよ……」
こころの友。
心友……。
麻美は、大人になることばかりを気にして忘れかけていた大切なものを思い出せそうな気がした。
「そう言えばこの店、貸切でパーティーもできるんだよ!今度、みんな誘って女テニの同窓会やろっか?」
美味しそうにオムライスを頬張りながら玲子が笑う。
麻美も、笑顔でオムライスを頬張る。
玲子の言葉のようにほろ苦くて、でもクリーミーで甘いソースが、じわーんと目にしみた。
「うん!」
そう答える麻美の目は、確実に湘南中央高校女子テニス部キャプテンのそれを取り戻そうとしていた。
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