ぷちっく - 2013.04.29 Mon

昨日の雪辱をと、南武線の武蔵なんちゃら方面に突撃。
なんちゃらというのは、川崎駅方面から、順に、武蔵小杉 → 武蔵中原 → 武蔵新城 → 武蔵溝の口 と並んでいるから。
昨日は小杉と中原にやられた!
(全国の小杉さん、中原さん、恨みはないですからね……)
なので今日は新城。
目指すは「ぷちっく」。
場所はわかりやすく、駅北口にある、のどかな商店街を真直ぐ進めばよい。
5分も歩かないうちに到着。
店頭では男性(ご主人かな?)が袋詰めのパンを売っている。

「もうやってますか?」
「いらっしゃいませ。大丈夫ですよ」
男性に案内されて店内に。
開店間もない時間のせいか、お客さんはまだ誰もいない。
おー、面白い!
間口は狭いけれど、中はオシャレでわくわくする空間が広がっている。
テーブル席が8席(2×4)と、土壁で仕切られた半個室。
なんだか、適度な閉鎖感がとても落ち着ける。

テーブル席について早速ランチメニューを拝見。
全品、サラダ、ドリンク付きで800円。ご飯大盛りも無料。安い!!
ちなみにランチメニューは以下の通り。
・手ごねハンバーグ(限定15食)
・オムライス
・キーマカレー
・ハヤシライス
う~ん、どれも美味しそう!!
やはりハンバーグが一押しだそうだが、今日は目的のオムライスを注文。
ソースはデミハヤシとカレーの2種類ある。ここは定番、デミハヤシを選択。
"味の決め手は卵!岩手県から直送される卵を3個使用し外はふわふわ中はとろとろに仕上げました"とメニューにある。これは期待が高まりますねえ……。
ほどなくして湯気とふわふわ感につつまれたオムライスが登場!

おー、ビューティフル!!
店内の雰囲気にピタリと合った外観。シェフの心意気を感じる素敵な作品です!

メニュー通り、タマゴは外ふわふわで中とろとろ。
中のケチャップライスは結構シンプル。でも逆に、そのシンプルさがデミハヤシの牛肉の食感を生かしとてもよく溶け合っている。食後に聞いたら、ディナーメニューではソースが、デミハヤシ、カレーの他にケチャップ、サーモンクリーム、お好み焼き風とあるとのこと。なので、どれにも合うよう中が主張しすぎないようにとの考えのようだ。
うん、確かにどれも合いそうな気がする。
特に、キーマカレーも売りなのでカレーソースは食べたい!(実はカレーも大好き)

ぷちっくができたのは3年ほど前のこと。
溝の口、武蔵小杉の大型駅に挟まれたのどかな武蔵新城を選んだのは地価とのことだが、それが提供価格にも反映されている。この地は物価も安いそうだ。
カクテルも豊富で全品380円。
デザートも自家製プリン、ティラミスなど250円~350円。
コスパ最高、どれも美味しそうだし、これは本当に安い!
昨日、武蔵小杉の東急スクエアでランチタイムを過ぎた時間に遭遇した順番待ちの長蛇の列。
買い物&食事はお決まりコースなのだろうが、ちょっと足を延ばせば安くて美味しいものがある。
昨日書いたように閉店する洋食屋さんは多い。
安くて美味しいものを提供しようとガンバっている店が淘汰されるのは悲しい。
ぷちっくのような、小さいけれどほっと落ち着ける店には、本当に生き延びてほしい。
お近くの方がいらしたら是非応援したあげてください!!
2013年4月29日
■ 店舗情報 ■
・住所:神奈川県川崎市中原区上新城2-6-14 志村ビル 1F
・電話:044-571-7151
・営業時間:11:00~15:00 17:00~22:00(L.O.21:00)
・定休日:火曜日
ぷちっく食べログ情報
ぷちっく (ハンバーグ / 武蔵新城駅)
春光
春光きらめく多摩川の水面すれすれを、鳥たちが気持ちよさそうに滑空する。
その脇の球音響くグラウンド。内野陣が、ゆっくりとマウンドの達也のもとに集まる。
「よーし、あとひとりだ。落ち着いて行こう」
セカンドの浩太が達也に声をかける。
「お前の一番いい球を投げろよ」
ファーストの智が肩をたたく。
最終回。ツーアウト満塁。相手バッターは4番。カウント3ボール2ストライク。
あのときと同じじゃん。状況も、みんなからかけられた言葉も……。
違うのは、甲子園の予選か草野球かってことぐらい。
それが大きな違い?
いや、今の自分には同じくらい大事な試合だ。
変われたかな、オレ……。
ロジンバッグを手の甲でポンポンとはじきながら、達也は、大きくひとつ深呼吸をした。
「ツーアウト。しまって行こう!」
キャッチャーの義広の通る声がグラウンドに響き渡る。
さあ達也、来い。インハイのストレート。
義広のサインに、達也は大きく横に首を振る。
じゃあ、アウトハイのストレート。
いや違う。義広、あのときと同じサインを……。
達也が逆にサインを送る。
本気か? わかった。じゃあこれで……。
達也の意図を汲んでサインを返す義広の表情が変わる。一気に引き締まるのが、マスク越しでもはっきりとわかる。
達也は帽子を深くかぶりなおすと、大きく頷いた。
5年前の、夏――。
全国高校野球選手権神奈川県大会、準決勝。
エース岡本達也率いる川崎青嵐高校は、初戦で第2シードの西湘大付属を破り、破竹の勢いでここまで勝ち上がってきた。
最速147キロ右腕。もともと大会No.1投手との呼び声は高かったのだが、200校近い参加がある夏の神奈川県大会を、弱小公立高校がひとりの投手で勝ち抜くのは至難の業だ。
準決勝の相手は優勝候補筆頭の横浜明峰。
3-1。川崎青嵐2点のリードで迎えた9回裏、横浜明峰最後の攻撃。ツーアウト満塁で、バッターボックスにはプロ注目の4番松山。カウント3ボール2ストライク。
マウンドの達也のもとに集まった内野陣が各自のポジションに戻る。
義広のサインをのぞき込む達也。
何? スローカーブ?
バカ野郎、ふざけるな!
達也は大きく首を横に振った。
それでも、義広の出すサインは変わらない。
スローカーブ。
何で?松山に子供だましが通じるわけないだろ。山際淳司のストーリーでもあるまし。オレのストレートを信じていないのか? オレだってドラフト候補だぜ。それに、オレの力でここまで勝ち上がって来たんじゃないか。わかったよ、義広。もうこれ以上つき合っていられねえ。さあ、行くぞ!
義広のサインに頷くと、達也は、サインを無視して渾身の力を込めたストレートを投げ込んだ。
148キロ。この試合138球目にして自己最速を記録したストレート。確かな指のかかりを実感した。
よし、最高のストレートだ。行ける!
そう思った瞬間、鋭く振りぬいた松山のバットにはじき返された白球は、快音とともに満員のレフトスタンドに突き刺さった。
逆転サヨナラ満塁ホームラン。
膝に手を置いたまま、ボールが消えたレフトスタンドに目をやり真っ白に固まった、達也。
その1球は、甲子園の夢破れると同時に、達也の全盛期の終焉を意味するものでもあった。
結局達也はその年のドラフトで選択されることはなく、東北地方の野球の強豪大学に進学したのだが、チームに折り合えず2年で中退した。
「あれ、達也?」
3か月ほど前、武蔵新城にある洋食屋の「ぷちっく」で昼食をとる達也の耳に、聞き覚えのある通る声がこだました。
見上げると、188センチの大男が笑っている。
バッテリーを組んでいた義広との、4年ぶりの再会だった。
「野球を失ってみると、結局オレは何もない薄っぺらなやつだって思うよ」
オムライスを頬張りながら、達也が言う。
「そうだな」
同情も否定もせずに、義広が相槌を打つ。
何だよ、つめてーなあとでも言いたげに、苦笑いを浮かべる達也。
「なあ達也、何であのときスローカーブのサインを出したと思う?」
「ストレートにタイミングが合っていたから?」
「それもある。他には?」
「他?……そうだなあ……。カーブが切れていたから?」
「それから?」
「あー? まだあるのか?」
ハンバーグを、大きな口でがぶりと食べると、義広は達也の方を指さした。
「本気で行きたかったんだよ、甲子園。お前と。それと、みんなと」
「オレだって行きたかったさ」
「いや、お前の行きたいとオレの行きたいは違ってた」
「どういこと?」
「お前は、お前だけのために行きたったんだろ。全国の強打者との対決を楽しむ。そのためだろ」
言われてみると、否定はできない自分がいる。
「お前がいなかったら、甲子園どころか1回勝てればいいチームだったってことは認める。だから誰もお前のことを恨んでなんかいないし、逆に夢を見させてくれてありがとうって感謝している。それとなあ達也。みんなも本気だったんだぜ。甲子園に行って、オレたちの達也をプロに送り出そうぜってことに」
「え? オレをプロに? 送り出す?」
「あー、みんなお前を英雄にしようと、一緒になって必死に戦ってたんだ。あのとき、横浜明峰の松山とお前は、雌雄を決するフィールドのトラのようだった。食うか食われるか。強くなればなるほどより強い相手を求める。勝者は敗者の屍を踏みつぶし、更に強くなっていく。敗者は優劣を明らかにされ、その世界から排除される。最後の1球でストレートを要求したら、きっとお前は自己最速の素晴らしい球を投げるだろうって思ってたよ。でも松山は、たとえそのボールが150キロ以上だったとしても、絶対に打ち返しただろう。いや、速ければ速いほど、より遠くに飛ばしていただろう。何故か? 本物同士の勝負ならストレートしか投げてこないって、やつは信じ込んでいたからだ。バッターボックスで、やつはそういう目をしていた。だからヤバいと思った。あそこで松山を打ち取れば、立場は変わっていた。卑怯と言われようと勝ちは勝ちだ。頭脳戦で勝つのも強さだ。柔よく剛を制す。スローカーブを茫然と見逃す松山の姿が今でも頭に浮かぶよ」
グラウンドを照らす柔らかい陽光が、今日は穏やかないい天気になることを約束している。
さあ、いくぞ義広、甲子園に……。
5年前の荒ぶる魂を宿したスローカーブが、達也の手から放たれた。
ガツン。
バットの先に当たった打球が、力なく達也の前に転がる。
達也は、その打球を難なくさばき、ファーストへ。
アウト! ゲームセット!
「よっしゃあーーーーーー!!!!」
達也の雄叫びがグラウンドにこだまする。
義広をはじめとするナインが、達也のもとに駆け寄る。
その夜「ぷちっく」には、祝杯をあげる草野球チーム「青嵐ジャガーズ」の面々の姿があった。
「では、本日の勝利を祝して、かんぱ~い!」
浩太の発声で、川崎青嵐高校第17期卒業生チームの祝勝会が始まる。
「義広、ありがとう」
達也は義広に右手を差し出した。
「おう」
呼応する義広。二人は、がっちりと握手を交わした。
「なあ義広。オレさあ、今日、目標が達成できたんだよ」
「目標?」
「ああ、やりたかった目標。今度はオレが質問する番だ。何だと思う?」
「ゴメン、まったくわからない……」
「スコアブック見てみな」
「え? 」
義広はマネージャーの美奈代に今日のスコアブックを貸してとお願いすると、内容をチェックし始めた。
「えーと、被安打5。四死球2。エラー4。失点1。ん? これの何が目標?」
「もうひとつ、記録があるだろ」
「もうひとつ?」
「奪三振」
「三振。えー、あれ? え?」
義広の驚きに、してやったりの表情を浮かべる達也。
「えー、奪三振、ゼローーーー!」
「そういうこと」
「1試合平均11.8個の奪三振を誇る剛腕が、ゼロ……」
「ああ、今日は絶対に三振はとらない。みんなを信じて、みんなと一緒に野球がしたいから、全部打たせて捕るって決めてたんだ。それがオレの目標だし、オレが変われたかどうかのバロメーターにしたかった」
「そうかあ。やったな、達也!今日はとことん飲もう」
「おー、朝まで行こうな!」
「私との約束も守ってね!」
達也と義広の間に美奈代割り込む。
「でも、甲子園はもうムリじゃん」
「上杉達也は、ちゃんと朝倉南を甲子園に連れていったわ。甲子園が東京ドームに変わってもいいじゃない。草野球の全国大会」
「まあ、オレは達也そのものだけど、お前はみなみちゃんじゃなくてみなよちゃんだし、ドームでもいいよな。その方がお似合いかも」
「もう、いじわる……」
「ゴメン、ゴメン、うそ。本気で連れてくよ」
その夜の宴は、やがて来る朝を惜しむかのごとく、みんなの意思に従い延々と続いた。
世の中は、冬が終わり春真っ盛り。
燃え盛る夏に羽ばたくための準備は、ここでも、着々と進んでいる。
● COMMENT ●
Re: タイトルなし
ありがとうございます!
今週はNMKマイル、京都新聞杯、新潟大賞典ですね!
予想コメさせて頂きます!
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美味馬わんこのkumaと言います。
コメント有難うございます。
記事は少ないですが
実はオムライス大好きなんですw。
こちらこそ、よろしくお願いしますね。
リンク大歓迎です、私もリンクさせて下さい。