2014
06.12

雨の日に観る物語 その3(更新)

Category: その他
孤悲。
互いのこころが、同調し、溶け合う。

チョコをつまみにビールを飲むユキノ。
味覚障害に陥ったユキノにとって、唯一味がわかるもの。
それがチョコとビール。

そんなユキノだが、なぜかタカオの作る弁当の味はわかる。
「歩き方を忘れた」ユキノと、「ユキノのための靴を作る」タカオの、言葉を越えて通い合う、こころ。

梅雨が明け、雨の降らない日が続く。
つまり、会えない日が続く。
やがて夏休みが終わり、9月。

ユキノを退職に追やる原因を作った3年女子の相沢に平手打ちを食らわせ、相沢のとりまきにぶっとばされたタカオは、晴れた日にいつもの庭園に足を運ぶ。
そして、そこにはユキノの姿が。

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初めて会ったときにユキノが口にした万葉集の歌、
「雷神(なるかみ)の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
に対する返歌を歌うタカオ。
「雷神(なるかみ)の 少し響みて 降らずとも 我は留らむ 妹し留めば」

「雨が降ったら君はここにとどまってくれるだろうか」
「雨なんか降らなくてもここにいるよ」

「ねえ、その顔どうしたの?」
絆創膏を貼ったタカオの顔を見てユキノが問う。
「先生のまねしてビールを飲んで、酔っ払って山手線のホームから落ちました」
「うそ!」
「うそです。ケンカくらいします」

その後、突然の豪雨に襲われずぶぬれになったふたりはユキノのマンションに。

アイロンをかけ、タカオの服をかわかすユキノ。

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手慣れた手つきで料理を作るタカオ。
作っていた料理は……。

そう、これ!

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オムライス!!!

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「結局これが言いたかったのか!」って思われそうだけど、決してそういうわけではない。

オムライスを食べ終わり、コーヒーを飲むふたりが、そろって思う。

「今まで生きてきて、今が一番幸せかもしれない」

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幸せの象徴として登場する(と勝手に思っている)オムライス。
やっぱり素敵な食べ物だ!

ご飯を食べ終わり、くつろぐふたり。
タカオはユキノに「ユキノさん、おれ、ユキノさんが好きなんだと思う」と告げる。
その言葉を聞いたユキノは「ユキノさんじゃなくて先生でしょ」と嘯き、タカオに、来週四国の実家に帰ると……。

やりきれないタカオはユキノの部屋から出て行く。

ユキノのこころに、うまく歩くための靴をはかせてくれたタカオ。
かけがえのないものを、今、失おうとしている……。

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部屋を出て行ったタカオを、「裸足(自らの足)」で追うユキノ。

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踊り場でボーっと外を見やるタカオ。

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「おれ、やっぱりあなたのこと嫌いです。最初からあなたは、なんだかやな人でした」
ユキノへの思いを無理やり断ち切ろうとするタカオ。
「あんたは一生ずっとそうやって、大事なことは絶対に言わないで、自分は関係ないって顔してずっとひとりで生きていくんだ」と涙ながらに叫ぶ。

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そしてその叫びは、ユキノのこころのバリアを突き抜けた。

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大人の階段で立ち止まってしまった27歳のユキノは、もう一度最初から階段を上るべく、15歳(のこころ)のユキノになり、タカオの胸(こころ)に飛び込んで行く。

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「毎朝ちゃんとスーツ着て学校に行こうとしてたの。でも恐くて。どうしても行けなくて。あの場所で、わたし、あなたに、救われてたの……」
泣きじゃくるユキノ。

そして、このとき、孤悲が孤悲でなくなった。

エピローグ。
季節は冬。

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いつもの庭園でユキノから届いた手紙に目をやるタカオ。

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携帯でのやりとりではなく、手紙のやり取り。
素敵な言の葉が舞う。

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カバンから、できあがった靴を取り出すタカオ。

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"歩く練習をしていたのは、きっとおれも同じだと、今は思う。"
"いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら、会いに行こう。"

孤悲を抱いていたふたりが、互いに「こころの靴」をはかせ合い、今、歩き始めた。

ラストシーン。
雪原(雪野)に残る、タカオの確かな足跡。

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ストーリーも、映像も、タイトルも、セリフも、曲も、どれもこれもが透明な美しさに満ち溢れたこの映画は、見終えたボクのこころの深いところに響いている。

"愛"よりも昔、"孤悲(こい)"のものがたり。

最後に。

男として、雪野さんの幸せを、心から祈る……。

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コメント
アニメでこういう恋愛モノってあまり見かけないけど、
これはなかなかの作品ですよね。

雨の表現が、いままで観たことないくらい、
ものすごく凝っています。
つかりこdot 2014.06.12 22:58 | 編集
たくさん書かれましたねー。
Omunaoさんの思い入れが、ビンビン伝わってきました。
つかりこdot 2014.06.12 23:08 | 編集
素敵なお話でした。
ユキノの四国での成長と二人の幸せな未来を祈らずにはいられませんね。

でも、途中でオムライスが出てきたのには
「Omunaoさん、すごっ!」と笑っちゃいました。




さとちんdot 2014.06.13 06:44 | 編集
おはようございます。
グッとくる素敵な話だと思いました
ネリムdot 2014.06.13 08:34 | 編集
つかりこさん、こんにちは!
ふたつあわせてコメ返させていただきます!!

つかりこさんの影響でたくさん書いてみました、なんてね(笑)

とにかく、絵がきれいですね!
新海監督が「雨は第三の主人公」と言うように、本当に雨が見事に表現されています。
脚本については、「いきなり短歌を詠む奴なんていない」とか「同じ学校の教師と生徒って」という声も聴きますが、ボクはすべてにおいて「これでなくてはならない」と思います。
逆に、そういった設定であるからこそ、世俗の先入観を排除し、純粋に「孤悲」を浮き彫りにして見れる作品だと思います。

それに、オムライスが出てきて嬉しかったですねえ。。
Omunaodot 2014.06.14 04:39 | 編集
さとちんさん、こんにちは!

そうですね、今後のふたりの未来と成長が楽しみです
オムライスが出て来た時は嬉しかったですよ!
いやあ、そうでしょ、そうでしょって。
ラーメンじゃないし、塩鮭でもない。
もう、オムライスでないとねえ、ここは。

ボクはこのブログでオムライスを「幸せや真心、こころの触れ合いの象徴」としているのですが、改めて「絵になる食べ物だなあ」って思いました。。
Omunaodot 2014.06.14 04:46 | 編集
ネリムさん、こんにちは!

今の季節にぴったりで、この映画のおかげで雨が好きになりました。
こうやって自分のブログを書いたりみなさまのブログを拝読するにつけ、
「いったい、どれくらいの"孤悲"がそこにあるんだろう」って思います。

ネリムさん、改めて言います。
いつもコメントをいただきありがとうございます!
Omunaodot 2014.06.14 04:51 | 編集
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