2014
11.20

【再掲載】 おとこのたたかい

Category: ストーリー
うわうわうわ、時間がなーい!

ということで、すみませんが得意の再掲載……。

頂いたコメ返、しばしお待ちくださいませ。。。


おとこのたたかい

「ハハハ、考えすぎだ。大切なのはハートだよハート。熱意ってやつだ。女性っていうのは、ちょっとくらい強引な方に惹かれるもんだ。一人暮らしの彼女の家に招待された意味なんて考えるまでもない」情熱が叫ぶ。

「そんなことはない。野獣じゃあるまいし。キラリと光る知性こそアピール度は高いはずだ」冷静が反論する。

「だからお前はいつもチャンスを逃すんだ。彼女だっていい加減しびれを切らしてるぜ」

「なにを言うかね。君には裏切られてばかりだ。彼女とのキスには情熱と冷静さが必要だとか言って一緒にさくらんぼを口の中で結ぶ練習を繰り返したのはいいが、肝心な本番でボクを無視して暴走したじゃないか。あの時の彼女のビンタは一生忘れない」

「ああ、ごめん、あれは悪かったと思っているさあ。まあでも、今でも付き合いは続いているわけだし……」

「君が何て言おうと、とにかくボクは反対だ」
 ちょっとだけ冷静さを欠いた冷静がそっぽを向く。

 おとこの中で、冷静と情熱の闘争が始まった。
 
 やれやれまたか。まったく肝心なときに……。
 情熱は一直線野郎だし、冷静も意外と頑固で言うことをきかない。両方とも自分であり自分ではない。

 制御不可能……。

 困惑の表情を浮かべるおとこ。
 そんな彼に遠くの方から、何ものかが話しかけた。
「君に呼ばれるのを待っていたよ。ここから先はまかせなさい」

 ん? 今度は誰? 救世主? それとも……?????

「冷静も情熱も極端だからいけない。冷たいに熱い。マイナス100とプラス100。冷たいも熱いも人は受け入れないだろ」

「誰だお前? いきなり出てきて偉そうに何言ってんだよ」情熱が熱くなる。

「あなたのお名前は?はじめに名乗るのが礼儀では?」冷静が冷静に言う。

「あ、失礼。私の名は無為自然」

「ムイ、シゼン、さん?」冷静が復唱する。

「そう、マイナスでもプラスでもない。冷静と情熱のあいだ。ゼロです」

「ゼロ? なんだそれ? 無為自然ってイニシャルで書いたらSMじゃねえか。あぶねーよ。そんな詐欺師に騙されるわけねーだろ!」情熱が血相を変えて言う。

「3人集まれば2対1で派閥ができるって言うけど、初登場の私を一緒になって攻撃するのですか?」
「あれ? 怒るんですか? ちっとも無為自然ではないですねえ……」冷静は冷静だ。 
 
 無為自然の顔色が見る見る赤くなって行く。
 どうやら無為自然も闘争に巻き込まれてしまったようである。

 なんだよ面倒くさいなあ。これではよけいに収集がつかない……。
 冷静も情熱も無為自然も、みんな大切なのはわかってる。でも、いい加減に自分の中で争うのはやめてくれ。

 そう思いつつも、おとこの頭の中で闘争の風船がどんどん膨らんでいく

 やがて限界が近づいてきた。もうだめだ! 

 おとこは頭を抱えた。
 誰かー。
 だめだ……。
 だ、誰か助けて!

 ……。

「バーン、バーン、バーン」

 と、そのとき突然、頭の中の風船が次々に破裂した。

 お?

 次の瞬間、争いは消え、何事もなかったような平穏がおとこに訪れた。

 同時に、

「どしたの?」彼女の笑顔が、おとこの目の前の景色を埋め尽くした。

「オムライスできたよ。さ、食べよ」

 目の前が、キラキラと光っている。
 ほっとするココロが笑顔に吸い込まれて行く。

 やがて、笑顔の中で、おとこのココロが口を開いた。

 助けてくれたんだね!

 どうしてだろう……。 
 男って常に戦い続ける生き物なのかなあ。
 自分でもよくわからないんだけど、自分の中でも戦っちゃうんだ。男の子は自分が大切に思う人を守るために生まれてくるから、持って生まれたものなのかも。
 冷静も情熱もいいやつだし必要なやつらなんだけど、いつも争ってる。こいつら役割分担とか一緒にやるっていうのが苦手で、どうやら自分の出番がよくわからないらしいんだ。
 
 だから君にも、あるときは「もっと熱くなって!」って思われるし、あるときは「ちょっとウザい」って思われちゃう。

 君の笑顔には助けてもらってばかりだし、あ、またやっちゃったってカンジだよね。
 だけどねえ、こいつら、「君の笑顔が見たくて」っていうのは共通してるんだよ。
 そのためにオレがオレがってガンバリすぎちゃう……。

 "わかってるよ、不器用さん"
 笑顔が、微笑む。

 おとこはやさしく笑顔を抱き寄せ、そっと目を閉じた。 

 笑顔の中で、戦いに疲れた冷静と情熱と無為自然がすやすやと眠っている。

 それは、戦うおとこの、しばしの休息の時間。



OTOKONATATAKAI2.png


 
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