2015
03.18

【再掲載】 SAMOVAR

花粉症との戦いの日は続く。
ネットで調べたら、花粉症の人の割合は都道府県によって違い、北海道や沖縄にはほとんどいないらしい。
いやあ、うらやましい。。

さて今日は、センターグリルに続き、大好きな横浜の店の記事の再掲載です!

これは横浜の馬車道にあるサモアールで思いついたストーリー。
横浜は中学高校時代を過ごしたので、思い入れもある。

サモアールのオムライスはとても美味しいし、今度は紅茶も飲んでみたい。

こういう落ち着く店で、春を感じながらのんびりと過ごすのもいいですよ!


ハイカラな街のハイカラなお店


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第5回は、またもや横浜。
とは言え今回は馬車道。
桜木町から海を左手に関内方面へと向かう。
馬車道までは電車でも来れるのだけれど、せっかくなのでハマ風と街並みを楽しみたい。
だから桜木町から歩くのがおすすめ。

う~ん、やっぱり好きだなあ、この街並み。
文明開化の香りに乗せられて、ちょっと遠回りしたくなる。
左手に海の気配を感じながら海岸通りを象の鼻公園方面に進む。
大桟橋の方から「ヴォーン、ヴォーン」と響く汽笛の音。
1月の風は辛辣だけれど、心は温まる。
そういえば、もう少し行くと第2回:センターグリルで登場した影山さんが貿易商を営んでいた日本大通りだなあ……、って、物語と現実を一緒にするなあ!

いけないいけない。
このままでは目的を忘れて山下公園から元町を抜けて山手まで行ってしまい、あれ、何しに来たんだっけってことになってしまう。

ということで、横浜税関前で折り返して今回の目的地である馬車道のSAMOVAL(サモアール)へ。
外観は、さすが馬車道にある店。
「ヨコハマ風お洒落」ってカンジ(何それ?)。
店外には「オリジナルオムライス」の看板。
う~ん、期待しちゃいますねえ……。

自動扉を開け、店内に。
中は結構広く、テーブル席とバーカウンターのような丸椅子が並べられている。
古い調度、SAMOVAR(ロシアの茶器らしい)が置かれ、照明もいい感じでムーディーな雰囲気(そういえば、ムーディー勝山はどうしちゃったんだろう……)。

さてさてオムライスは。お、結構種類がある。
きのこのオムライス(ガーリック入り)。
チキンのオムライス(ピリ辛ケチャップ味)。
シーフードのオムライス(イカ、エビ、ホタテ入り)。
ほうれん草のオムライス(ベーコン、ガーリック入り)。
イカスミのオムライス(イカ、ガーリック入り)。
この5種類で、値段はすべて850円。

今回は「ピリ辛」にひかれ、この中からチキンのオムライスを選択。
出来上がりを待っている間に、結構お客さんが入ってきた。
しかも家族連れが多い。
給仕をつとめる女性が気さくに話しているところを見ると、どうやら、休日は一家で来る常連が多いようだ。

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そうこうしているうちにオムライスが席に到着。
ふーん。
見た目は何の変哲もないケチャップが添えられたオムライス。

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味はどうだろう……。

では、いっただっきま~す!!

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うわっ!

う、う……。

うまーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!!

これは美味しい!
小細工なしの直球勝負。
ご飯の中には鶏肉、玉ねぎ、ピーマン。
すごく丁寧に作られた感じで香ばしく、卵とピリ辛のケチャップ味が絶妙にマッチする。
ホント、目からウロコ。
なんて素敵な出会い。
残り4種類のオムライスも食べてみたい!
ボリュームは普通なんだろうけど、味付けのせいなのか、多いように感じさせてくれた。

サモアールは1974年に横浜駅西口に紅茶専門店として開店したのがはじめらしい。
今は横浜駅西口の相鉄ジョイナス本店、ここ馬車道店、弥生台店の3店舗。
ただし、本店は紅茶専門店、弥生台は洋菓子店なので、オムライスが食べられるのは馬車道店のみ。
各種類のオムライスが食べられるのは、平日は14:00から(ランチタイムは1種類)。
休日は11:00から。

とても心落ち着ける雰囲気で、ついつい長居してしまいそうな店。
注文時に「お飲み物はいかがですか?」と給仕さんに聞かれたけれど、今回はオムライスのみに。
帰り際にレジでとても美味しかった旨を伝えると「お近くですか? 今度は紅茶も召し上がってみてください」と。
そういえば、前回に続いてまたまた紅茶の店だった。
は~い、今度はゆっくりと紅茶もいただきま~す!

2013年1月5日

■ 店舗情報 ■
住所:神奈川県横浜市中区弁天通4-67-1
電話:045-201-3050
営業時間:11:00~22:00
定休日:年中無休(年末年始休み)

SAMOVAR 食べログ情報 

サモアール 馬車道店喫茶店 / 馬車道駅関内駅桜木町駅



永遠の明日

 5月が終わってじっとりとした梅雨の季節が来るというのに、まったく世の中のカップルというものはよくもそんなにべったりとくっついていられるもんだ。
 しかも、ヨコハマっていうのがまたよくない。
 みなとみらい地区から赤レンガ倉庫、山下公園にかけて、満員電車から降りる乗客のようにと言うか、コンベアに乗って運ばれる回転寿司のようにと言うか、次から次へとカップルが現れ、犬も歩けばカップルに当たるって状態だ。
 それに引き換え、オレの姿って何?
 生まれてこのかた17年間、ヨコハマに住んでいるのに女の子と手をつないでヨコハマを歩いたことなんて一度だってありやしない。
 にもかかわらず、そう、にもかかわらずだ。
 せっかくの休みの日に、何でオレがおばあちゃんと二人で、しかもおばあちゃんの手を引いて海岸通りや馬車道を歩かなきゃあいけないの。世の中っていうのは不公平にできてるって、つくづく思うよ。

 ふてくされを押し殺した表情(かお)で歩く185cmの少年と、その少年に手を引かれてにこにこと歩く背中の丸まった145cmの老婆。昼下がりの馬車道の空は、青く澄み渡っている。

 それは一週間前の、1本の電話から始まった。

「おかあさんが、どうしても元気なうちに一度横浜に行きたいんだって」
静岡に住む伯母から浩一の母親への電話だった。
「まあ、元気って言っても、もうだいぶボケが進んじゃってるし足腰も弱くなってきているから、多分ラストチャンスのような気がするのよ。なんとかお願いできないかしら」
 伯母、つまりは祖母の面倒を見ている浩一の母親の姉(しかも長女)の懇願に、妹(しかも末っ子)である母親は、最後は押し切られる形になった。

「で、なんでオレなの?」電話を終え、 “お願い!”と手を合わせる母親に向かって浩一が言う。
「おばあちゃんのご指名なのよ。ほら、孫の中でも、何かとコウちゃんコウちゃんって可愛がってくれていたでしょ。」

 最後に押し切られるのは親譲りかもしれない。浩一は渋々、首を縦に振った。

「コウちゃんは今何年だっけ?」本町4丁目の交差点を過ぎ、県立歴史博物館に差し掛かる手前で、145cmの老婆が見上げて尋ねる。
「高校2年だよ」
「そうかい、もう立派な大人だねえ。頼もしい、頼もしい」
さっきも聞かれたよなあ、大丈夫かなあ……そんなことを思いつつも、県立歴史博物館をやり過ごし次の交差点に着くと、185cmの少年は腰をかがめ優しく老婆の左耳に向かって声を発した。
「おばあちゃん、もうすぐオムライスの店につくよ」

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 母親の頼みに浩一が承諾すると、次の瞬間、待ってましたとばかりに母親が畳み掛けてきた。
「それでね、おばあちゃんはねえ、あの、何だっけ? 前にみんなでオムライス食べに行ったお店。ほら、馬車道の……」
「もしかして、サモアール?」
「あ、そうそう、そこのオムライスが食べたいんだって」
 それから母親は、ベテランのツアーガイドよろしく山下公園から海岸通りを抜け、海岸通四丁目の交差点を左折して馬車道方面に行き、最後はサモアールでオムライスを食べる当日の行程を浩一に指示した。
 そしてツアーは、その指示に忠実に従い、無事に最終行程へとたどり着いた。

「おー、そうかね。もうつくかね」
 浩一は祖母をエスコートし、サモアールの奥のテーブル席に座った。
「おばあちゃん、何がいい」
「あたしゃオムライスにするよ」
「あ、そうなんだけど、いくつか種類があってさあ……」
「いいよ、コウちゃんが選んでよ」
「そう……、うーん、……じゃあ、シーフードなんてどう?イカ、エビ、ホタテ入りの」
「うん、それにするよ」

 しばらくしてオムライスが運ばれて来ると、
「まあ美味しそう。じゃあ、いただこうかな」
 祖母のくしゃくしゃの顔が、より一層くしゃくしゃになった。
「ところで、これはなんていうオムライスだっけ?」
「あー、シーフードのオムライス。イカとかエビとかホタテが入ってるやつ」
「そうかいそうかい、美味しそうだね」そう言いながら、祖母はオムライスを口に運んだ。
「美味しい。うんうん」
 そうつぶやく祖母の満足そうな顔に浩一もほっとする。
 幸せそうに食べる人を見ていると、こちらまでも幸せな気分になれるもんなんだなあ、そんなことを感じながら浩一は祖母の笑顔を見ていた。
「美味しいねえ。うんうん。本当に美味しい……。ね、おとうさん」

 え?……おとうさん?……

「美味しい美味しい」
 それから祖母は、一口食べるごとに、笑顔で同じ言葉を繰り返した。
 結局二人は、ゆっくりと、40分ほどかけてオムライスを完食した。
 もっとも、浩一にとってそのうちの30分は、祖母の笑顔を見ているだけの時間であったが。


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 その日の夕方、祖母は満足げに迎えの車に乗って静岡へと帰って行った。
「ありがとうね。おばあちゃん本当に喜んでたよ」母親が浩一にねぎらいの言葉をかける。
 浩一は、あれやこれや、祖母との会話がちんぷんかんぷんだったことを母親に報告した。
「しかもさあ、オムライス食べているときに『美味しいね、おとうさん』とか言い出しちゃうし」

 祖母の表情をまねて話す浩一のその言葉に、面白おかしく話を聞いていた母親から笑顔が消えた。

「……おとうさん、って言ってたの?……」
 天井を見上げ、ひとつ大きく深呼吸をすると、母親は続けた。

「浩一、今日って何の日だと思う?」
 突然の質問に、きょとんとする浩一。
「命日。今日はねえ、ひいおじいちゃんの命日」
「ひいおじいちゃんって、おばあちゃんのおとうさんってこと?」
「そう。今日、5月29日は横浜大空襲の日でねえ・・・」

 それから母親は浩一に、横浜大空襲の話を聞かせてくれた。

 昭和20年5月29日。午前9時30分頃。B29爆撃機517機とP51戦闘機101機の編隊が横浜に襲いかかった。
 焼夷弾の絨毯爆撃により一気に火の手があがる。
 当時17歳だった祖母は馬車道にある銀行にその年の4月から勤めていて、そこで空襲にあった。
 幸い祖母は火傷を負いながらも逃げ延びることができたが、本牧で郵便局長をしていた曽祖父は「よそ様のお金を預かっている。現金輸送車が来るまで自分はここを離れるわけにはいかない」そう言って郵便局から逃げることなく、直撃弾を受けて亡くなったと言う。

 初めて聞く話だった。

 その日も、いつもと同じ朝だった。
「行ってきま-す」
 昨日とかわらない、同じ朝だった。
 そして、
「ただいま」
「おかえり」
 そんな夜を迎えるはずだった。

「おばあちゃん、浩一のことをひいおじいちゃんによく似てるって言ってたよね。だからきっと、あの日の夜におとうさんと一緒に食べるはずだった夕飯を、今日食べてたんだよ。おとうさん、美味しいねっ……。おとうさん、本当に美味しいねって……」
 それから先はもう、母親の言葉は言葉になっていなかった。

 浩一は自室に行くと、ぼんやりと窓の外を眺めた。
 暮れなずむ空の向こうから、かすかに船の汽笛の音が聞こえる。

 オレと同い年の時に、時のいたずらに翻弄され一瞬にしておとうさんも住むところもなくしたおばあちゃん。
 それでも苦労のかけらなんてこれっぽっちも見せずに、オレのことを可愛がってくれる。

 おばあちゃんの中では、ある意味、あの日に馬車道で空襲にあった時から時間が止まっている。
 来るはずの夜が、来るはずの明日が、来ていない――。

 それに比べて、オレって何?
 女の子と手をつないでヨコハマを歩いたことがないだと。世の中不公平にできているだと。とんだ甘ったれ小僧じゃないか。

 開け放った窓から、夏色の準備を始めた風が部屋を駆け抜けていった。

 おばあちゃん、夏は暑いから、8月15日に戦争が終わってしばらくして秋になったら、またサモアールにオムライスを食べに行こうよ。ほら、まだいろいろな種類があるからさ。

 オレも頑張るって約束するよ。だって、オレにはおばあちゃんとひいおじいちゃんの血が流れているんだから。

 ちょっと海を走ってこようかな、そうつぶやくと浩一は、ぽんぽんと軽く両膝をたたき、夜の帳が降りた街へと飛び出して行った。

 だからおばあちゃんも約束して。
 それまで元気でいるって。

 いい、おばあちゃん、約束だよ……。

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コメント
朝、コメントし・・・消えました(+o+)
お話拝読させていただき、うるっ・・・と。
誰にも素敵な思いでがあり、大切なもの。
短くても、少しでも。

それに触れられたお孫さん。
だから、自分が今ここに居る。

感謝できれば、つながりはもっと素敵になりますよね。
Miyudot 2015.03.19 21:04 | 編集
Miyuさん、こんにちは!

コメント、てか、書いたのが消えるとめっちゃショックですよね
めげずのコメント、ありがとうございます。。

感謝

これもキーワードですね
大切にして生きていきたいけど、まだまだ未熟です
歴史があり、今がある
先達がいて、自分がいる
ささえてもらっている自分
Miyuさんにも感謝です。。
Omunaodot 2015.03.20 06:23 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
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