2015
08.08

問いプードル、そして、10まんボルトのキズナ with とよたまさま 再び

Category: ストーリー
以前書いた「誤変換」の記事。
みなさまから面白エピソードをいただいた。

私もつい最近誤変換が!
トイプードル

問いプードル
とかパソコンに言われましたよ!!

これは「あさぎしょこら。」を書かれているとよたまさんに頂いたコメント。

ボクは次のようにコメ返した。

すごいプードルですねえ
でもなんか、首をかしげてる姿が想像できます。。
ちなみに、試してみたらボクも「問いプードル」ってパソコンに言われました!
では、とよたまさん、新撰組の服を着た「問いプードル」の絵をお願いします♪

そしたら、な、なんと!
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!

とよたまさん、新撰組の服を着た「問いプードル」の絵を描いてくださいましたあ!!!!!

凛としたお姿で?マークを従えた「問いプードル」はこちら( ← リンク )

カッコいいとよたま剣士の絵とともにご覧ください。

さて……。

今日は、以前、ヒロインをとよたまさんに描いていただいたストーリーの再掲載。

このストーリーは、豊かな発想とそれはそれは美しく美味しそうなキャラ弁(もう、これは芸術)で楽しませてくださる「喜ぶ顔がみたくて」 ( ← リンク ) のよっちママさんのかわいいピカチュウのオムライス弁当をきっかけに書いたもの。

そして、このストーリーを書いてから約1ヶ月後、素敵な絵の描き手のとよたまさんと出会い、「ぜひイメージの絵を」とお願い申し上げた。

結果、快諾を頂き、ついにこのストーリーのヒロインである佳澄(カスミ)の絵が完成。ボクの空想の世界の人物にイノチを吹き込んでくださった。

優しい風の中の透明感あふれる姿。

ボーダーのシャツに身を包んだ、真直ぐで純真な(と勝手に決めています)佳澄の、柔らかい、今すぐにでも聡の胸に飛び込みたいけど、そこは大人の冷静さをもってはにかむように微笑む表情。

原画はとよたまさんのブログ(2013/10/5の「やっとこさリクエスト消化!」の記事)に掲載されていますので、是非ご覧ください!

kasumi by toyotamasan


10まんボルトのキズナ

 改札を抜けると、まだ山間の肌寒さを身に纏った、ちょっとよそよそしい風が聡の頬をかすめた。
 11年ぶりに降り立つ故郷の駅。見慣れない景色が目の前に広がる。市町村合併のあおりなのか、駅前の再開発が進み、唯ひとつ昔を垣間見れる酒屋の看板の苦笑いだけが聡に安心感を与えてくれた。

 だいぶ変わっちゃったなあ……。11時30分か。さて、行くかな。

 駅前の道も以前とは違う様相だ。それでなくても不安を抱えた心に、都会の化粧をまねた商店街の冷たい視線が追い打ちをかける。

 やっぱりやめようかな……。
 頼りなさ気な目が空を見上げる。

“大丈夫だよ”
“心配するなって。ほら、背筋をピンとのばして”
 午前中の終わりを告げる青い空と眩い太陽が、やさしく微笑かけてくれた。

 心強い味方はいつでも良い流れを作ってくれる。
 商店街を抜けると、ほっとする変わらぬ家並みが聡を出迎えた。

 同時に、今度は見覚えのある風が街路樹の間を軽快にすり抜け、聡の横を通り過ぎて行く。
“あ、聡、久しぶり!お帰り!”
 すれ違いざまに、風が振り向き、ささやく。

 レンガ色の屋根の向こうに見える火の見やぐら。
 四つ角の脇に並ぶ道標とお地蔵さん。

 うん、何も変わっていない。大丈夫だ。

 いつの間にか軽くなった足が、歩を早める。

 あの丘まで、あともう少し。
 あの日の、佳澄とのあの約束の、あの丘まで……。

「じゃあ、ふたりで一緒に埋めるからね。佳澄も準備できた?」
「うん、いいよ」
「ねえ、何て書いたの?」
「バーカ、それを言っちゃったら意味ないでしょ」
「バカって言うな。だって気になるだろ」
「じゃあ、あなたは何を書いたの? ふつう女の子に聞く前に自分から言うものよ」
「おー、そうか。いいよ。オレはねえ……」
「だめーーーー!聞きたくなーーーい!」

 あわててふさがれた口。
 佳澄の手から伝わる、清らかな香りと柔らかいぬくもり。
 熱い鼓動が笑顔をかき消した。
 その鼓動の命令に従い、見つめあう、目と、目。
 ふたりの時間が止まる。
 心が、溶け合い、一色になって行く。
 やがて、……。

 11時45分。

 聡は丘に向かう最後の角を曲がった。

“やあ、聡くん。ようこそ!”
 古びた教会が微笑む。
 その水先案内人は、新緑に囲まれた高台へと続く道に木漏れ日の明かりを灯す。

 石畳を、一歩一歩、踏みしめる。

 やがて視界が開け、想い出の詰め合わせが聡の目に飛び込んできた。

 ペンキのはげかけたベンチ。
 ふたりで、時の経つのも忘れて戯れあったシーソー。
 突然の雨に、あわてて駆けこんだ休憩コーナー。
 そして、あの日、その下で約束を誓い合った、大きな桜の木。

“どうだい聡。何も変わっていないだろ”
 聡を追いかけてきた風が、遠くに目をやりながらつぶやく。

“大丈夫。さっき言った通り。何ひとつ変わっていないから”
 空と太陽が仲間に加わり、聡を囲んでくれる。

 11時55分。

 胸の鼓動が高鳴る。
 上映開始のブザーが鳴った映画館のように、辺りが一斉に静まり返る。
 
 芝生に腰を下ろす。
 目を閉じ、じっと約束の時間を待つ。

 まぶたの裏に、佳澄の笑い声がよみがえる。

「いい聡、2013年5月12日だからね。時間は12時」
「15年後かあ……」
「そのとき、笑って見せ合えたらいいね」
「できるに決まってるだろ。ていうか、それまでにもうバレちゃってるんじゃない」
「本当? 信じてるからね」

 中学時代の15歳の約束。

 それから倍の人生が過ぎ去っていった。
 あの日桜の木の下に埋めた約束は、今も置き去りのまま。

 来るわけないよな……。
 15年前の子供じみた飯事を、なんでオレは引きずっているんだろう。

“バーカ”

 あの日の佳澄の言葉が体中を駆け巡る。
 ホント、バカだよな。

 白い雲が、ゆっくりと飛んで行く。 

 ディーン・ドーン。ディーン・ドーン。
 やがて教会の鐘が、約束の時間を告げた。

“サトシ”
 鐘の音に乗って、遠くの方で、風が自分の名前を呼んでいる。

“来てくれたんだね”
 風がささやく。

“約束、守ってくれてありがとう”
 風が、そっと肩にふれる。

 あの日、聡の口をふさいだ、あの柔らかいぬくもりが肩から体中に広がって行く。

 清らかな香りが、辺りを包み込む。

 え?

 まさか……。

 うそでしょ。

 夢?

 キ・セ・キ。

 きっと来るって自分に言い聞かせてはいたけれど……。 

 
 そっと目を開ける。

 15年前よりちょっと大人びた、でも変わらない瞳が、聡の目に映りこむ。

「………」
 
 声に、ならない。

 ブルージーンズにボーダーのTシャツ。足もとはホワイトのスニーカー。
 あの日と同じボーイッシュなファッションが、目の前で微笑んでいる。

「待ってたよ」

 いつしか離れて行った心が、再会の握手を交わす。
 佳澄は、伸びをひとつすると、聡の横に腰をおろした。
「何か、ちょっとだけ冷たいけど風が気持ちいいね」
「うん……」

 いざ会ってみると、ちょっと気恥ずさはあるものの、不思議と昨日も会ったような落ち着いた感覚がふたりを包み込む。

「あのさあ、佳澄……」
「うん」
「いや……」
「じゃあ、私からいくよ」
「うん」
「あのね……」
「あ、ちょっと待って。やっぱりオレから……」

 遠くの方に湖がかすんで見える。その上を、遊覧船が、ゆっくりと進んで行く。

「佳澄、誕生日おめでとう」
「ありがとう。でも大台になっちゃったね、先に」
「そうだね、お姉さま。そのお姉さまにプレゼント持ってきたよ」
「へえ、何かなあ」
 聡はカバンの中からプレゼントを取り出すと小声で言った。
「後ろを向いて」
 佳澄の髪を束ね、そのプレゼントでそっとまとめる。
「え、なになに?」
「佳澄がほしがってたシュシュ。頑張って作ってみた」
「え!もしかして」
「うん、四つ葉のクローバーをデザインしたやつ」
「え!自分で作ってくれたの?」

 佳澄の瞳が、遠い湖と同化する。

「ありがとう……。私も持って来たよ」
「え?」
「これ」
 佳澄は、チェックの布に包まれた弁当箱を取り出すと、
「一緒に食べよ」
 そう言って蓋を開けた。

「あっ!」

“ピカ~!”
 弁当箱いっぱいに詰まったオムライスのピカチュウが、聡の胸に飛び込んできた。

「佳澄……」

「ほら、聡、言ってたでしょ。お前、料理うまくなれよって。で、オレにピカチュウをデザインしたオムライスの愛妻弁当を作ってくれって。ね、オムライス好きのピカチュウマニアさん!」

 聡の頬が、ピカチュウの頬に負けないくらい赤く染まって行く。

「私、聡は絶対に来るって信じてたよ。聡は?」
「オレ、ちょっと不安だった。でもさあ、ずっと気になってて、しかも実は1週間くらい前に佳澄が『約束だからね』って叫んでる夢を見たんだ。はっとして目が覚めて、それからは今どうしているんだろう、会いたいって無性に思って、もしかしたら本当に会えるんじゃないかって。いや、絶対に会えるって。もう、佳澄のことしか考えられなくて」

 佳澄の肩が、聡の肩に、そっと寄り添う。

「私、高校に入って聡と別れて、卒業して、やっぱり聡に会いたいって思ったら聡は遠くの大学に行っちゃって。それからいくつか恋愛もしたけど、本当に私のことわかってくれるのって、……」

 オレもだよ。聡は心の中でつぶやいた。

 もうそれ以上、余計な言葉はいらなかった。

「そうだ、佳澄、今日は見せ合うんだよね、書いて埋めたやつ」
「そうね、でも、私はもういいかな」
「え?どうして?」
「これ、食べてもらったから……」
「なるほど、そういうことだったんだ」
「聡は?」
「え、オレ……」
「いいでしょ、教えてよ。やっぱ掘ってみようか?」
「いや……、あれはあれで埋めておこ。オレたちがここに生きていた証として」

 聡は目を閉じ一呼吸置くと、続けた。

「オレはねえ、あの教会の鐘をふたりで鳴らして、この丘で佳澄とふたりの子供の笑顔を見ていたい、そう書いたんだ」

 四つ葉のクローバーのシュシュをした佳澄の髪を、柔かいぬくもりがやさしく撫でる。
  
「ねえ聡、私ね、生まれて15年目の誕生日をここで聡と過ごして、それから、丁度同じだけ年がたった今、また聡と一緒で、なんだか自分が生まれ変わったような気がするの。新しい、いや、本当の自分に」

「10まんボルト……」

「え?」

「オレたちのキズナ」

「どういうこと?」

「本当にびっくりで、こんな奇跡があるんだなって思う。普通は会えないよね。でも、こうやって再会できたのって不思議でも何でもなくて、最初からオレたちは一緒になる運命だったんだなって、そんな風に感じるんだ。一度別れたのも、まだ子供だったオレ達に神様が与えてくれた時間のような気がする。時間も場所も超えられたキズナは10まんボルトの威力さ。もう離れることは絶対にないね」

「まったく、ピカチュウマニアがあ。でも、うれしいよ」 

 青い空と、白い雲と、眩い太陽と、爽やかな風が、微笑みながらひそひそ話をする。

 白い雲が、太陽を隠す。 

 佳澄のシュシュを、ちょっと強い風が揺らす。

 「寒い!」

 佳澄の身体がかすかに震える。

 聡のぬくもりが、その身体を抱き寄せる。

 どこまでも続く青い空が、ふたりを包み込む。

 そして、奇跡という名の必然が、四つ葉のクローバーに彩られたふたりの10まんボルトのキズナを祝福する。


おわり

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コメント
おはようございます
爽やかな感じのお話素敵だと思います。
ネリムdot 2015.08.11 08:40 | 編集
ネリムさん、こんにちは!

ありがとうございます
書き出すと主人公たちが動き始めます

思いは通じる
こころのつながり

そんなことを主人公たちが教えてくれたような気がします。。

Omunaodot 2015.08.11 17:00 | 編集
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