2015
09.19

【再掲載】 ふたりテッちゃん その3

Category: ストーリー
" 飛び乗って! "

テツオからのメールが届いたのは、スーパー白鳥20号発車のアナウンスとほぼ同時だった。

きつねにつままれたような表情のテツコ。本能的にテツオの言葉に従い、気がついたときには車内に飛び込んでいる自分がいた。

どういうこと? 約束違反では???

とにかく乗れたことを伝えないと……。

" 乗れました! でも"

ただそれだけを返信てから少しして、テツオからの第二弾メールが届いた。

「あ、そっか!」

安堵の表情を浮かべながらペロッと舌を出したテツコは、自由席の3号車に向かうと、窓際の席に腰を下ろした。

それにしても、メールが来てよかった。本当にギリギリのすごいタイミングで、なんか不思議なカンジ……。

まだドキドキしてる。すごいなあ……。

そんなテツコを乗せたスーパー白鳥20号は、知内駅を過ぎると、やがて北海道に別れを告げるべく青函トンネルへと入っていった。

tetsuo101.png


和食が食べたい。

何を食べようか自問自答していたテツオは、駅ビルのピオレ姫路ごちそう館に向かいつつ、食べる物を決めていた。

目の前に、「つるまる饂飩(うどん)」の文字が飛びこむ。

よし、ここにしよう。

即断即決がテツオの取り柄だ。

結果的には、この決断力が功を奏した。

迷うことなく店を決め、記念に店の写真をとろうと携帯を取り出したおかげでテツコからのメールに気がついたのだった。

ん? " 特急じゃないと青森に行かれないんです。どうしよう "って。

あ! もしかしてテツコさんは勘違いをしている!

テツオはあわてて飛び乗るように指示したのち、じっと結果の連絡を待った。

数分ののちにはほっと胸をなでおろすことになったのだが、とても長く感じられる時間だった。

"でも"、か……。

やっぱりテツコさんはルールを勘違いしている。

テツオは注文を済ませると、テツコに説明のメールを送信した。

よかったです、乗れて!
そうそう、「何でスーパー白鳥に乗ってもいいのか?」ですけど。
「普通料金以外の支払いはダメ」が今回のルールです。
なので、特急でも特急料金がかからない路線は乗車OKです。
ほら、私鉄なんかだとよくありますよね。
JRで言う快速のようなイメージで。
京浜急行とか、阪急とか、西鉄とか。
津軽海峡線は木古内から蟹田までなら特急料金なしで乗車できるので、その区間はOKなんです。
あ、もちろん席は自由席(2か3号車)に座ってくださいね。
それと注意です。
そのまま乗っていれば新青森まで直通で行かれます。
でも、特急券が不要なのはあくまでも木古内から蟹田の区間だけ。
それ以上乗ると料金がかかるので、必ず蟹田で乗り換えてください。
では、またお昼に!

メールを打ち終わり携帯をポケットに突っ込むと、テツオは、とっくに運ばれてきているうどんを勢いよくすすった。

8時26分発はちょっと間に合わないかな。

えーと、そのあとは8時56分かあ……。

ま、ちょっとゆっくりしてから行こうかな。

それでも、13時前には名古屋に着くだろう。

それにしても、テツコさんは間にあってよかった。津軽海峡線は本数が少ないからなあ……。

テツオも一安心。

ほっとした手が、しょうが天を口に運ぶ。

ん、うまい!

テツコとのやりとりに時間をついやし自分が一本遅い電車に乗るはめになったが、これで今日もいい一日になりそうな、そんな予感に包まれたテツオであった。

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つづく

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