2013
02.24

MORE

Back to 80’s


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小町通りを鎌倉駅方面から鶴岡八幡宮方面へ、人の流れに乗って歩いて行く。
よし、小町通りにどんな店ができているかチェックしながら歩くかな……。
えーと先ずは、通りの入口付近にある不二家は変わらないな、ふむふむ。
それから次に……、おっ、前を歩く女の子2人組は確かさっき江ノ電に乗っていた子たちだ、2人とも可愛いじゃん!
ん?……あれ?手つないで歩いてる……え?そういう関係ですか???
でも、女の子って仲がいいと普通に手をつないで歩いたりするって聞いたことある気がするし……。
というわけで、小町通りの店並みチェックは入口の不二家の存在を確認しただけで終わり、あっという間に目的地に到着。

今回の目的地は小町通り沿いにある喫茶「MORE(モア)」。
駅から歩いて向かって右側の2階。
路上に出された看板をチェック。
うんうん、あるある、オムライス!
期待を胸に2階へと向かう広い階段を上がる。

店の入り口はひと昔前のおしゃれな雰囲気。歴史を感じる。

おーーーーー!80年代だあ!
完全なる80年代の世界。
ラジカセかウォークマンか竹の子族か。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった、
じゃあないけど、
モアの重いドアを開けると80年代であった、ってカンジ。
窓の外の「モア」の字体も当時の雰囲気を感じる。

さてそんな店内は、さすが小町通り沿いに古くからある店、大勢のお客さんで賑わっている。
家族連れの方、友人同士の方、ひとりでくつろぐ方等々、客層はいろいろ。

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奥のテーブルに通され(小町通りを見下ろせる窓際がよかったんだけど、残念ながら空いていなかった)、さっそくオムライスを注文。
オムライスは、ふわふわ玉子のオムライス880円と粗挽きソーセージのオムライス1,000円の2種類。
違いを聞くと、ふわふわの方はデミグラスソースで、粗挽きの方はケチャップだそうだ。
今回は写真が出ていた「ふわふわ玉子のオムライス」を食べることに。

さて、肝心な味はいかに……。

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Oh デリシャ~ス!!
卵とデミも美味しいけど、特にご飯が美味しい。
よく炒めたケチャップご飯の甘くこげた香ばしさが、口中に広がる!!
うん、幼少の頃こういう喫茶店で食べた記憶の懐かしいケチャップ味。
いいな、これ……。

ボリュームは、ほどほど、という印象。

モアのオープンは1977年。昭和52年。
ジャイアンツの王選手が756号のホームラン世界最高記録を達成し、キャンディーズが解散宣言をした年だ。
調度といい、かかっている曲といい、モアの中は、ホント80年代にタイムスリップしたかのような場所と時間を提供してくれる。
さあ、世のおとうさま、おかあさま、モアに行ってあの日に帰りませう!!
あ、もちろん、その時代を知らなくたって、小町通りでの一休みの、ゆったりとした時間を楽しめますよ~。

2013年1月12日

■ 店舗情報 ■
・住所:神奈川県鎌倉市小町1-7-1
・電話:0467-24-5743
・営業時間:11:00~22:00
・定休日:無休

MORE 食べログ情報 

喫茶モアカフェ / 鎌倉駅和田塚駅


明日への時間旅行

「3勝10敗だな……」
 スプーンを片手にモアの2階の窓から小町通りを行き交う人々をぼんやりと眺めていた守が、祐二の方に目線を移しつぶやいた。
「……何が?」
 アイスコーヒーを口に運ぼうとしていた祐二が、守の方を見やる。
「何だと思う?」
「そうだな、小町通りを歩いているイケてる女の子」
「バーカ」
「お前ならあり得る」
「30年前ならな」
 守は苦笑いを浮かべ、オムライスを一口食べると続けた。
「オレたちが行っていた茶店(サテン)。今も残っているのはここも含めて3ヶ所だけ。大船の薔薇館も西鎌倉のコロンもない。藤沢のマタリとドルチェは、今は食べ物屋だ」
「そういうことかあ……」
 祐二はアイスコーヒーのグラスに映る自分の顔の輪郭を目でなぞりながら、ため息交じりにうなずいた。

 モアの店内にはシャカタクのNight Birdsが流れている。
 1982年のスマッシュヒットナンバーだ。

 あのころ……。
 祐二と守の大学時代……。

「おじゃましまーす……」
 家には誰もいないと知りつつ、それでも玄関で一応挨拶の言葉を言って、祐二達の仲間は毎日のように守の家に集まっていた。
 バイブルはポパイと片岡義男、それとカーグラフィック。1階の冷蔵庫からよく冷えた缶ビールを取り出し、真昼間から水代わりに飲みながらアルディメオラやリーリトナーのギターをコピーしまくっていた。
 夜になれば海沿いの134号を西へと向かい、箱根の大観山に向けて走り出す。守のRX-7、祐二のケンメリ、その他仲間の117クーペやトレノ。
“すべての四足動物は後ろ足で大地を蹴る”そんな桜井眞一郎氏の言葉に陶酔し、”FF(前輪駆動)なんてクルマじゃねえ。やっぱりFR(後輪駆動)だよな”なんてこだわる硬派なクルマ好きの集まりと思いきや、ハートカクテルのような恋愛に憧れ、仲良しの女の子たちと逗子マリーナでテニスに明け暮れたりもした。
 就職や家族のことなんか考えずに、ただ今日を楽しみ、明日も幸せな日が来ることを疑うことなく生きていた。

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 曲がTOTOのRosannaに変わった。
「あのころは、毎日が楽しかったよなあ……。」
 手にしたアイスコーヒーのグラスを見つめたまま、祐二は独り言のような口調でそういうと、話を続けた。
「人ってさあ、いつまで夢に生きて、いつから思い出に生きるのかなあ?オレさあ、思い出に生きたくないんだ。そうなったら人生も終わりだって思う。常に前向きに、夢を忘れることなく。お前と『一緒の会社に入ろう。で、オレたちでいい会社に育てよう』って夢見て入社しただろ。今でもその思いは変わらないし、変えたくはない。でもなあ、どうしても前向きになれずに楽しかったときに逃げてしまう……」

 11月の小町通りの西の空が、ほのかにオレンジ色に染まろうとしている。
「ほら」
 ぼんやりと天井の方に目をやる祐二に、守がマールボロの箱を差し出した。
「吸えよ、いいだろ今日くらい」
 軽く会釈をして箱から1本抜き取り口にくわえた祐二に、守が火をつける。
 石がすれボッと炎が上がると、JIPPOのオイルの香りが広がった。
「ありがとう」そういうと、祐二は18年ぶりのタバコを深く吸い込んだ。

「夢と思い出に線を引く必要なんてないんじゃないかなあ。いいんじゃないか、思い出に生きたって。お前とはお互い励ましあって今日まで来たし、それは大切な思い出だと思ってる。思い出に生きたくてもそんな思い出さえない人だっているわけだし、素晴らしい思い出を見つめて生きて行っても、何も悪くはないと思う。いやむしろ、思い出があるからこそ頑張れるんじゃないかなあ……」

 そんな守の言葉のあと、二人はしばらくの間無言で、ぼんやりと暮れゆく景色を眺めていた。

 良き思い出。それは自分が生きてきた、確かな証。

“なあ、オレたち将来どっちが稼ぐと思う”
“オレたちのS採用ってさあ、特別扱いのスペシャル採用だと思ってたら、ソルジャー採用のSなんだってよ。チクショウ、でも関係ねーよな。よし、お前と一緒ならできる!”
祐二の中で、目の前に座るスーツの守の姿が、30年前のGジャンの姿と重なる。

 やがて、吸い終わったタバコを灰皿に押し付けて消しながら、裕二は口を開いた。
「今までありがとうな。オレたちの中では、今でも13勝0敗だよな」
 守は祐二の目をじっと見ながら大きくうなずくと、
「これからもな」
 そう言って右手を差し出す。
「人事部長が言うことに間違いはないかな。もしかして、これがオレの面談?」
裕二の言葉に守は軽く笑を浮かべ、二人はがっちりと握手を交わした。

「あとの選択はオレ次第だな……」
「ああ、例えお前が社命のどちらを選択しても、オレたちの思い出は変わることはないし、決して色あせることもない」
「人事部長がお前でよかったよ。オレに手続きで戸惑わせるなよ」

 秋の空はすっかりと夜に向かう準備を終え、窓の外が街明かりに変わろうとしている。

「じゃあ、今日は朝まで行くか」
 守が問いかける。
「おー、先ずは大観山だな。お前の自称フェラーリで」
 祐二の声が弾ける。
「OK! その後は茅ヶ崎のインザチップスに行って、鎌倉山のロイヤルホストにしよう」
「残念ながらロイヤルホストは24時までだ」
「11敗目か。ま、クルマの中で作戦を考えよう」
「おー!」

 会計を済ませると、二人はさっそうと小町通りへと消えて行った。

 さあ、今日は守の自称フェラーリで、Back to the Future!!

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