レストランKei - 2013.02.24 Sun

藤沢と横浜の繰り返しから鎌倉に進展し、よし、この勢いで更なる一歩をということで、今日は本厚木に参上。
目的地は「レストランKei」。
「ビジネスホテル夕霧」というなんか演歌っぽい名前のホテルの1階にある。
小田急線を降り、ミロードを抜けて目的地へ。
ちょっと駅から離れていてわかりにくいんだけど、駅北口を出たらとにかく商店街を真っ直ぐ進み、厚木アーバンホテルの角を左に曲がる。
後は厚木年金事務所を目指せばよい。
駅から徒歩で5~10分くらい。
厚木まで来ると丹沢おろしで寒いかなと思いきや、この日の日中は意外とポカポカでいい天気。
商店街が終わり、ローカルな雰囲気の中を散歩気分で歩いているうちに店を発見!
わおー、”わたしは地方都市のビジネスホテル&レストランですよ~”と思い切り主張しているぞー!
でも、そういうのって味わいがあって結構好きだったりする。
先ずは外にある商品ディスプレイでオムライスを確認。
OK!真ん中で堂々としてますねえ……。
外観を写真に収め、店内に。
14:00前頃だけど、結構お客さんがいる。
でも、とても静かな雰囲気。
そう、ホテルの1階にあるレストランだけあって、まさしくホテルのモーニングを食べているときのような、カチャカチャとナイフとフォークと食器の音だけが響くような雰囲気。
店内にはイージーリスニングが流れている。
ポールモーリアだな。
さてさてメニューを見てみるかな。
席に着き早速メニューを拝見。
ランチメニューのオムライス。
ケチャップがかかったオーソドックスなオムライスで、謳い文句は”ボリュームたっぷりの定番メニュー”。
サラダとコーヒーか紅茶つきで800円。
おー、安い!
でも今日はこれじゃあないんだもんねえ。
で、お目当ての半熟タマゴの・・・、あれ!
先に目に飛び込んできたのは”オムハヤシ”の5文字。
しかもボリュームたっぷりだと~。
オ・ム・ハ・ヤ・シ!
オ・ム・ハ・ヤ・シ!
頭の中でオムハヤシコールが鳴り響く・・・。
でも、今日は半熟タマゴのオムライスにするって決めてきたんだ。しかも893円。
なんかコワイ人を思い浮かべてしまう価格設定。
この期に及んでオムハヤシにしたら、半熟タマゴのオムライスに”落とし前をつけてもらおうか”って店の裏に呼ばれそう。
ということで半熟タマゴのオムライスを注文。
ほどなく893円なオムライスが到着。
さー、来ましたよ、目的の品が。
おー、ビューティフル!フジヤマ ゲイシャ、オムライス!
893円とは似ても似つかぬ美しさ。
卵はかぶせてあるのではなく、トロッとかけてあるカンジ。
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味も良い!
卵がかぶさっていないので、なんか半熟卵かけご飯のようにソースとご飯と卵が一体化している。
うん、卵ではなくてメニューにある通り”タマゴ”と書くのがぴったりのイメージ。
そう言えば、タマゴって書いたり玉子って書いたり店によって違うけど、どうやって決めてるのかなあ?
ご飯の中はベーコン(あれ、ハムかな?)と玉ねぎとピーマン。
これがいい感じに炒められている。
と、ここで掟破りの考えが頭をよぎる。
このケチャップご飯はデミにも合うけど、オーソドックスなケチャップにも合うのでは……。
次の瞬間、迷うことなく店員さんを呼んでいる自分がいた。
「すみません、この、ランチのオムライスを追加でください」
きょとんとする店員さん。
「……あ、え、セットの方のでよろしいですね……」
前回の1日2軒巡りに続き、今回は1軒2種類食い。
カロリーオーバーだけど、今日はその分ウォーキングの時間を増やせばいいさ、そんなことを自分に言い聞かせながら到着を待つ。
で、やってきました、定番オムライス!

こちらの味も期待を裏切らなかった。ボリュームも多い。
薄焼き卵をケチャップが引き締め、ご飯を包みこむ。
デミのオムライスとは全く違う食べ物のよう。でも、ご飯はどちらにもぴったり。
どのポジションもできるユーティリティープレイヤーのようだ。
レストランKeiはホテルに併設されているので、もちろん外来も多いのだろうが、お客さんを見ていると地元の皆さんがおしゃべりや休日のゆっくりとした時間を過ごすために利用しているケースが多いように見受けられる。
地元の方々に愛される店、いいですよねえ。
今回は2種類のオムライスを食べたわけだが、まだ残っているのがある。
そう、オ・ム・ハ・ヤ・シ。
ユーティリティープレイヤーはオムハヤシにも合うはず。
あ、そう言えば!
食べ終わってから気がついた。
外の看板に書いてあったコピー。
“懐かしの味 ハヤシライス”
そうなんだよ、ハヤシが特に売りなんだよ~!!
う~む、今日のもとても美味しかったけど、今度はオムハヤシを食べに来るゾー!!
2013年1月19日
■ 店舗情報 ■
・住所:神奈川県厚木市栄町1-9-4 ビジネスホテル夕霧 1F
・電話:046-295-7277
・営業時間:11:00~22:00
・定休日:第1~3水曜日
Kei 食べログ情報
レストランKei (ステーキ / 本厚木駅)
( Kei+Kei + Kei ) × ( Omurice + Omurice )÷2
アーバンホテルの角を曲ると、ビルの向こうに丹沢の青い山並がくっきりと浮かび上がった。
やっぱり、ちょっと寄ってみようかな。
懐かしさと、ポンと肩をたたく春色の風に誘われ、啓次郎は、躊躇いを飲み込みレストランKeiの扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
可愛らしい元気な声に、右手の人差し指を立て、”ひとり”という合図を送る。
「おひとりさまですね。では、こちらの席にどうぞ」
ウェイトレスの手が案内するその先では、窓から降り注ぐ陽光に満ちあふれたテーブルが、“やあ、久しぶり”と優しく啓次郎を出迎えた。
“ごぶさた。座る前に、ちょっと失礼するよ”
窓のブラインドを下げると、啓次郎は、3年ぶりの椅子にゆっくりと腰をおろした。
14時を過ぎたせいか、店内はすいている。ついたての向こうの奥の席にいるらしい若い女性グループの他には、お客さんはいないようだ。
“そういえば、ブラインドを下ろすのはいつも君の役目だったねえ”
そんなテーブルの微笑に肘をあずけ、メニューを眺める。
“もちろん、注文はあれだろ?”
“ああ、決まっているさ”
「これください」
啓次郎はランチメニューにあるオムライスの写真を指差した。
そのころ--。
勤務先の社内研修の講師を頼まれた景子は、研修帰りに後輩の女性たちをひきつれてレストランKeiを訪れていた。
「えー、そうなんですか。水原さん、ここによく来てたんですかあ」
できたてのオムライスを前に、後輩たちの明るい笑顔がはじける。
「3年ぶりだけどね。多いときは毎週のように来てたわ。とにかく美味しいわよ」
「ホントにこのオムライス、すごく美味しそうだし、すごくきれいですね!」
「でしょ。半熟タマゴとデミグラスソースとご飯の感じがすごくいいの」
景子の中で、思い出が“こんにちは”を言う。
なんだか懐かしいなあ……。
「おまたせいたしました」
しばらくして啓次郎の前にオムライスが運ばれてきた。
薄焼き卵に色鮮やかなケチャップがかかったオムライス。
全然変わってないなあ……。
啓次郎は、オムライスを真ん中の部分からふたつに切り分けた。
彼女(あいつ)、今ごろどうしてるかなあ……。
大学に入ってすぐのフレッシュマンキャンプ。それがふたりの出会いだった。
「社会学科の田辺啓次郎です。だいたい、ケイって呼ばれてました。オムライスに目がないです」
啓次郎のそんな挨拶に呼応するかのように、
「はじめまして。英文学科の水原景子です。友達からはケイって呼ばれてます。オムライスを食べ歩くのが好きです」
え?
他の学生の挨拶は耳にも入らなかったが、景子の挨拶に啓次郎は思わず顔を上げた。
そんな啓次郎の方を見て、軽く微笑む景子。
初めて会ったとは思えなかった。前々からの知り合いのような錯覚が、フレッシュマンキャンプの場をふたりだけの場に変えた。
そんなふたりは、それからしばらくしてレストランKeiを見つけた。
“でもすごくない? 私たちお互いがケイで、オムライスが好きで、Keiって名前のこの店まで見つけちゃって”
“これは偶然じゃないよね。あ、でもね、ボクはケチャップがかかった昔ながらのオムライスの方が好きだな”
“私だってケチャップのも好きよ。でもデミの方がもっと好き”
“ボクだってデミのも好きだよ。ねえねえ、お互いに好きな方を頼んで、半分ずつ食べない?”
“あ、そうしよ、そうしよ!”
「水原さん、半分しか食べないんですか?」
景子の隣の女性が、手つかずのまま半分残されたオムライスを見て言った。
「そうね、なんだかおなかいっぱいになっちゃって……」
「えー、もったいない」
“あなた食べるの早すぎだわ”
“そんなこと言われても……。これでもゆっくり食べてるんだぜ”
“いじわるして、もっとゆっくり食べちゃおうかなあ……”
“はいはい、お嬢さま”
忘れたはずの啓次郎の笑顔が、オムライスの皿に揺れる。
妙な感覚が景子を包み込む。
なんでここに啓次郎がいないんだろう……。
「ラストオーダーのお時間ですが、何かございますでしょうか?」
元気な声が啓次郎の耳に響いた。
「いや、……、いいです」
ブラインドから漏れる一筋のやわらかい日差しに、アイスコーヒーのグラスが輝いている。
「……、すみません、やはり追加をお願いします。半熟卵のオムライスをひとつ……」
景子が半分食べ終わるのを、じっと待つのが啓次郎の役目だった。
ケチャップのオムライスを半分残して、半分になる半熟タマゴのオムライスとの交換を待つ。今も、半熟タマゴのオムライスの到着を待ちながら、ちょこんとたたずむ半分になったケチャップのオムライスが、目の前にある。
あのころと同じ光景。
ただひとつ違うのは、残った半分のオムライスの受け取り手がいないということ。
なんでここに景子がいないんだろう……。
やがてランチタイム営業終了の15時が近づいてきた。
「ごちそうさまです!」
景子の前に、幸せ色に染まった笑顔が並ぶ。
景子は伝票を片手に、レジへと向かった。
その先に、丁度会計を終えて店を出て行こうとする男性の後ろ姿が、ぼんやりと見えた。
「ごちそうさま」
レジの前に立った景子はウェイトレスに伝票を渡し、何気なく入口付近のテーブルに目をやった。いつも 啓次郎とふたりで座っていた、窓際のあの席――。
え?どうして?
目に飛び込んで来たのは、きれいに半分残されたケチャップのオムライスと、その隣に寄り添う、同じくきれいに半分残された半熟タマゴのオムライス――。
景子の中で時間が止まり、時計の針が逆回転を始めた。
陽だまりで微笑む春の神様は、ちょっぴりイタズラ好きで、そして、とてもやさしい。
( Kei + Kei + Kei ) × ( Omurice + Omurice ) ÷ 2
この数式の答えは、すぐそこにある――。
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